犬だけでなく飼い主にも「ポジティブ強化」が必要です【研究結果】

犬だけでなく飼い主にも「ポジティブ強化」が必要です【研究結果】

犬の行動治療を行う時の効果的な方法をリサーチした研究結果が発表されました。犬だけでなく飼い主も、自分の行動から自信を得ることが大切なようです。

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犬の「行動治療」における飼い主への指導方法の研究

ハイタッチする獣医師と犬

動物行動学および獣医学の中に「臨床行動学」という分野があります。動物が人間にとって望ましくない行動を見せるとき、その行動について動物行動学と獣医学の両方から治療を進めていく「行動治療」は、臨床行動学のひとつです。

このたびイギリスのブリストル大学の研究者が、犬の攻撃的な行動を修正する場合に行動治療の専門医が飼い主を指導するときの方法や、飼い主の心理についての研究を発表しました。研究の目的の一つは、飼い犬の攻撃的な行動を修正しなくてはならないときに、飼い主がポジティブ強化の手法ではなく罰を基本とした手法を選んだ場合、その決定に影響を与えたものは何であるのかを調査することも含まれていました。

飼い犬の攻撃的な行動が飼い主の心に与える影響

イライラしている女性

研究チームによる調査からわかったことの一つに、飼い犬が攻撃的な反応を見せるような状況では、飼い主が大変強い否定的な感情や失敗の感情を経験する可能性が高いというものがありました。問題行動の中でも攻撃的な犬を管理することは、行動治療の出来不出来に伴う感情的な影響が大きいことも示されています。

臨床行動学では、犬の行動を修正するときに用いる手法は、望ましい行動をしたときにご褒美を与えて、望ましい行動を定着させていくポジティブ強化の方法です。しかし、犬の攻撃的な行動に対して、この手法は根気と忍耐が必要です。飼い主が否定的な感情や失敗の感情を持っているときに、根気強く忍耐強くというのは確かに難しい注文でしょう。

飼い主が罰を基本とする手法を選択してしまう背景には、このような感情的な影響もあると言えそうです。したがって、行動治療の専門医は犬の幸福だけでなく、飼い主の幸福を考えることが重要であると研究者は述べています。

行動治療において、どのように飼い主をサポートするのか

クリッカートレーニング中のビーグル犬

研究チームが調査結果から導き出した結論は、行動治療の場において専門医は飼い主に対して以下のようなことの実行が必要だというものでした。

  • ポジティブ強化トレーニングのデモを行い、その有効性を実証して見せる
  • トレーニングについて自信を持てるよう専門家の指導を受ける機会を提供する

トレーニングの有効性を目の当たりにすることで、飼い主はトレーニングに対してポジティブなイメージを持つことができます。そしてその手法を実践することに関して自信が持てれば、少しくらい失敗しても根気強く取り組むことができます。

つまり飼い主自身が「トレーニング方法について自分に自信を持つ」というポジティブ経験を重ねて行くことで望ましい行動を定着させて行くという、「飼い主にもポジティブ強化」が犬の行動修正のトレーニング成功の鍵だということです。

まとめ

トレーニング中の犬と女性

攻撃的反応を見せる犬の行動治療において、犬だけでなく飼い主の感情や幸福にも重きを置き、飼い主がトレーニングに自信を持てるようなポジティブな経験をサポートすることが、行動治療成功の鍵になるという研究結果をご紹介しました。

犬の行動について考えるとき、ほとんどの研究では犬の行動だけに焦点が当てられ飼い主の行動が注目されることは稀です。しかし、犬にとっての最も身近な人間の感情や行動は、犬の行動の鍵になることは何の不思議もありません。行動治療やドッグトレーニングの世界において「飼い主にもポジティブ強化を!」という考えが一般化して浸透してほしいものだと思います。

《参考》 https://www.veterinarypracticenews.com/dog-owners-need-positive-reinforcement-too-2/

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