ペット向けの植物ベースの食事に興味を持つ人が増えているという調査結果

ペット向けの植物ベースの食事に興味を持つ人が増えているという調査結果

犬や猫に植物をベースにしたベジタリアン向けのフードを食べさせることに興味を持っている飼い主が増えているという調査結果がカナダの研究者によって発表されました。

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犬や猫に植物ベースのフードを食べさせたい人はどのくらいいる?

ゴールデンレトリーバーと野菜の入ったボウル

カナダのゲルフ大学の研究者が、ニュージーランドのマッセイ大学の研究者と共同で、犬や猫と植物性の食事についての意識の調査の結果を発表しました。研究者は世界中から3673人の犬と猫の飼い主を対象にして、どんな種類の食べ物を飼っている動物に与えているか、飼い主自身はどんなものを食べているかについて、オンライン調査を行いました。

ベジタリアンやビーガンと呼ばれる動物性のものを食べるのを避けている人は、ペットの犬や猫に動物性の食品を与えることに倫理的なジレンマを感じることがあります。この研究の目的は肉を避ける飼い主の数を推定し、彼らが従来のペットフードに対して持っている懸念を明らかにし、植物ベースの食事を与えられている動物の数を推定することでした。

アンケートの回答は?

犬の横顔とプチトマト

全回答者のうちの6%弱が、動物性のものを一切食べないビーガン、6%が卵や乳製品は食べるベジタリアン、4%が魚と卵と乳製品は食べるペスカタリアンでした。ビーガンの人々のうち27%は既にペットにも植物由来の食べ物を与えていると回答しています。まだ植物由来のものを与えていないビーガンのうちの78%は、犬や猫が必要な栄養が完全に摂取できるなら、ペットの食事を植物由来に切り替えることに興味を示しました。

全体では、2940匹の犬の1.6%、1545匹の猫の.7%が厳密に植物由来のものだけの食事を与えられていました。このペットたちの飼い主は主にビーガンで、1人だけベジタリアンがいました。10.4%の犬と3.3%の猫が、コンスタントにではないが植物由来の食事を与えられていました。

ペットの飼い主全体では、35%が植物由来の食事に興味を持っていました。55%は食事の切替えを行う前に、一定の要件を満たす必要があると答えました。要件とは植物ベースの食事がペットの栄養ニーズを満たすという科学的な証拠、かかりつけの獣医師の許可、植物ベースのフードが簡単に入手できることなどです。研究者はこの結果を見て、植物由来の食事を与えられているペットの数は、予想をはるかに上回っていたと述べています。

今後の課題は?

野菜の前であくびをする猫

回答者たちが植物由来の食事が犬や猫の栄養ニーズを満たすかどうかの証拠を求めるのはもっともなことですが、犬や猫に対する植物由来の食べ物の栄養的適合性や、植物ベースの食事の健康上の利点やリスクについての研究はあまり多くありません。

数少ない研究のうちの一つ、2015年にカリフォルニア大学デイビス校の研究者が行った調査では、市販の植物由来のドッグフードの大部分はペットフードの公認基準に準拠しておらず、アミノ酸含有量の妥当性に懸念があることがわかりました。

また、ペットフード工業会の調査では、ヨーロッパで植物ベースの食事を与えられている犬86匹のうち50%以上が、タンパク質、必須アミノ酸’、カルシウム、亜鉛、ビタミンDとビタミンB12が不足している食事を摂っていたことが分かりました。

特にLカルニチンとタウリンは、犬や猫の健康に非常に重要な役割を果たしているため、これらが含まれない植物ベースの食事は健康を害する恐れがあります。今後植物ベースのペットフードを開発するなら、栄養面での強化と、消費者への積極的な情報提供がテーマとなりそうです。

まとめ

2匹のチョコラブと食べ物が盛られたお皿

ペットの飼い主へのアンケートから、犬や猫に植物ベースの食事を与えることに興味を持っている人が意外に多く、もっと情報を望んでいる人も多かったという調査結果をご紹介しました。ペットフードに使われる食肉の家畜の福祉、食料不足の問題も有り、ペットフードに植物由来の原材料を使うことは必ずしも悪いことではありません。

一方で、栄養的に不足があることについての情報の少なさ、本来の食性とは違うものを与えられる犬や猫の福祉と健康への懸念という問題は無視できないことです。イギリスの王立動物虐待防止協会では、「犬はともかく、猫に植物由来の食事を与えることは虐待に当たります」という呼びかけも行っています。

犬や猫に植物由来の食事ということに賛成か反対かも含め、考えることで環境や動物福祉、栄養のことなどを考える良い機会にもなります。
皆さんも一度考えてみてください。

《参考》 https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0210806

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