犬が自分の傷口を舐める理由と対策3つ

【獣医師監修】犬が自分の傷口を舐める理由と対策3つ

お気に入りに追加

犬が傷口を舐める行動、犬の本能だとご存知でしたか?実はこれには、科学的根拠に基づいたことも証明されているんです。ここではその理由と対策をご紹介します。

3141view

SupervisorImage

記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

犬が傷口を舐めるのは本能

自分の手を舐める垂れ耳の犬

犬が自分の傷口をひっきりなしに舐める行動、見かける方も多いでしょう。実は、これは痛みや痒みを少しでも和らげようとしている本能行動で、通称「ズーファーマコロジー(zoopharmacognosy)」といいます。

傷口を舐めることで唾液がつき、回復が望めるといわれています。集団で生活していた頃は、自分では届かない部分(背中や頭など)は仲間が舐めてくれます。犬は自分だけでなく、飼い主さんの傷口も舐めることがあるそうです。

これも犬の本能なのでしょうが、仲間や家族が傷を負っているのを見ると「早く治してあげたい」という思いから、愛情を伝えてくれます。では、なぜ傷口に唾液がつくと回復が見込めるのでしょうか?

犬の唾液の99%は水分でできていますが、残りの1%には殺菌作用のある微生物や、酵素が無数に生息しています。例えば、リゾチームやラクトフェリン、ペルオキシターゼ、IgAなどが挙げられ、これらは歯周病や口臭を防ぐといわれています。
そのほかに口の中には常在する細菌が400種類特定されています。唾液には有用な成分も、悪影響を与える恐れのある細菌も存在します。

また、上皮細胞増殖因子や神経細胞成長因子と呼ばれるホルモンは、止血効果と感染防止を担っています。このように、科学的根拠に基づいていると考えられています。

しかし、この本能行動で傷の回復が望めるといっても、放置してはいけません。犬は自分の体に違和感を抱くと、それを振り払おうと気になる部分を舐め続けます。

傷口だけでなく、カサカサした皮膚や毛玉、虫、脂肪でさえ、一旦気になってしまうと執拗に舐めてしまうのです。傷口を舐めすぎると、痛みや痒みを助長させる可能性がありますし、さらに症状が悪化すると化膿してしまう恐れがあります。

では、傷口を舐める行動をやめさせるには、どうしたら良いのでしょうか?

犬が自分の傷口を舐める時の対策

①エリザベルカラーをつける

エリザベスカラーを付けたプードル

一番安全な対策法として、エリザベスカラーが挙げられます。しかし、エリザベスカラーを付けると犬はストレスを感じるのも事実。視野が狭くなり、音が聞き取りにくくなり、周りの情報を受け取ることが困難になるためです。

初めてエリザベスカラーを付けた犬は、外そうとして暴れたり、逆に固まって動かなくなったりする子もいます。飼い主さんから見ても、「窮屈そう、邪魔そう」と外してあげたくなる方も多いでしょう。

しかし、エリザベスカラーを付けることで、犬がストレスを感じていることは、獣医師さんも重々承知。それでも付けなければならない理由があるのです。

一番の理由は、傷口の保護に有効という点です。エリザベスカラーを付けることで、舐めることを防いだり、傷口に塗った薬を舐めて取れてしまうのを防いだり、縫合した糸を触るのを防ぐことができます。

また、犬は3日ほどすれば体の一部のように使いこなします。慣れるまでは、散歩や食事中はサポートしてあげましょう。

②絆創膏を付ける

手に絆創膏を付けて眠る犬

傷口に絆創膏を付ける対策法です。しかし絆創膏という異物が、体にくっついているという違和感から、舐めて剥がしてしまったり、絆創膏を飲み込んでしまったりする恐れもあります。エリザベスカラーが、一番安心な対策法と考えて良いでしょう。

③包帯を巻く

手に包帯を巻いてあくびをするチワワ

傷口に包帯を巻く対策法もあります。しかし、包帯を巻くことで、傷口が締め付けられ血流が悪くなり、回復が遅くなる可能性があります。

まとめ

獣医師に傷の手当てをされている犬

犬は猫と違って、自分の毛を舐めるグルーミングをほとんどしません。そのため、自分の体の一部を執拗に舐めるような行動がみられたら、ケガや皮膚病を患っている可能性があります。すぐに止めさせて、舐めていた部分を観察し、獣医師さんに相談しましょう。

監修獣医師による補足

同じ場所ばかり舐めすぎると舐性皮膚炎と呼ばれる皮膚炎ができることがあります。
エリザベスカラーを外すとムキになって舐めてしまい治療が大変になることがあります。
また、唾液の中には有用な成分だけでなく、細菌がたくさん生息しており犬にとっては害を及ば差ないが、人間に感染症を引き起こすパスツレラ菌などを持っています。抵抗力があれば感染する確率が下がりますが、抵抗力の弱い子供や高齢の方、病中病後の方の場合は要注意です。動物とコミュニケーションをとることは大切ですが、このような点にも注意してください。

獣医師:平松育子
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事をシェアする
LINExわんちゃんホンポ(友達に追加する)
この記事を読んだあなたにおすすめ
合わせて読みたい

あなたが知っている情報をぜひ教えてください!

※他の飼い主さんの参考になるよう、この記事のテーマに沿った書き込みをお願いいたします。

年齢を選択
性別を選択
写真を付ける
書き込みに関する注意点
この書き込み機能は「他の犬の飼い主さんの為にもなる情報や体験談等をみんなで共有し、犬と人の生活をより豊かにしていく」ために作られた機能です。従って、下記の内容にあたる悪質と捉えられる文章を投稿した際は、投稿の削除や該当する箇所の削除、又はブロック処理をさせていただきます。予めご了承の上、節度ある書き込みをお願い致します。

・過度と捉えられる批判的な書き込み
・誹謗中傷にあたる過度な書き込み
・ライター個人を誹謗中傷するような書き込み
・荒らし行為
・宣伝行為
・その他悪質と捉えられる全ての行為

※android版アプリは画像の投稿に対応しておりません。