遺伝子病の検査対象は犬25種、猫3種!幼齢期に遺伝子検査を受けよう

遺伝子病の検査対象は犬25種、猫3種!幼齢期に遺伝子検査を受けよう【獣医師監修】

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今日もどこかで沢山の犬猫が産まれています。できることなら全ての子が一生を健康で幸せに過ごして欲しいですね。しかし、現実は親から受け継いだ病気の遺伝子の影響で、失明や運動障害といった先天性疾患に苦しむ子が少なくありません。発症するまで外見で判断することが難しいため、症状がかなり進行してから気がつくこともあります。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

ペットの先天性疾患!失明や致死性の遺伝子病もある

遺伝子病ってなに?病気の遺伝子は親から子へ引き継がれていく

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「遺伝子病」というものを聞いたことがあるでしょうか?

これは、発症すると失明や運動障害、免疫不全などを引き起こし、やがて死に至る場合もある遺伝性の疾患です。病気の遺伝子は、親から子供へと引き継がれていきます。遺伝子が原因なので治療法がないものも多く、一生病気とつきあうこともあるため、ペットや飼い主さんにかかる負担はかなりのものとなります。

ペット保険を検討している方は、先天性疾患が対象外になるのか保障されるのか、事前によくチェックしておきましょう。また、ペットを迎えた後は、なるべく早く遺伝子検査を受けておき、その子が「クリア」「キャリア」「アフェクテッド」のどのタイプなのか調べておく方が安心です。

ペット業界の闇!遺伝子病リスクのある子も交配に用いられる

日本は遺伝子病をかかえる犬や猫がとても多いと言われています。

その理由は、珍しい毛色を作出するためや、外見的特徴を固定化させるため等の理由から、繁殖に向いていない(繁殖すると子供に健康リスクがでる恐れがある)と分かっている犬や猫でも、どんどん交配に用いられているからです。

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犬猫の遺伝子病リスクは、上記のように「クリア」「キャリア」「アフェクテッド」の3つで表されます。

  • クリア:クリアの両親から産まれた子供で、遺伝子病の原因遺伝子は持っていない。
  • キャリア:遺伝子病の原因遺伝子を1つ受け継いでいるため、繁殖には注意が必要。
  • アフェクテッド:遺伝子病の原因遺伝子を2つ受け継いでいるため、将来発症する可能性が高い。繁殖は避けた方が良い。

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つまり、交配させる場合は「クリア×クリア」か「クリア×キャリア」で組み合わせる方が良いのですが、利益を優先させる業者のもとでは遺伝子検査をせずに、リスクが高い組み合わせで掛け合わせることも少なくありません。

実は、先天性疾患は発症前に外見で判断することは難しく、いつ発症するのかも分かりません。そのためペット購入後に遺伝子病が分かっても、販売者の責任を問えないこともあります。

販売店のなかには、契約書に「返犬(猫)や、類似する代犬猫での対応」と記載しているところもありますが、家族として迎え入れた子をそう簡単に手放せるはずがなく、治療費を巡ってトラブルになるケースも少なくありません。また個人間でも、病気リスクを知らずに交配させたことで、里親との間でトラブルになるケースもあります。実は、消費生活センターには毎年多くのペットに関する相談が寄せられているのです

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日本では一部の優良なブリーダーやペットショップでしか遺伝子病対策をしていません。そもそも繁殖業者には遺伝子検査を実施する義務はなく、購入者も「どのようなブリーダーのもとで産まれた子なのか?」と、背景を気にする人はあまり多くないかもしれません。

その結果、ペット業界では健康な子を送り出すことより、いかにコストを抑えて“売れる個体”を量産するか?ということが重視されている可能性が高いのです。

遺伝子病は発症するまで外見で判断できない

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遺伝子病には、それぞれ発症しやすい品種があります。

たとえば「進行性網膜萎縮症(PRA)」という遺伝子病は、発症すると少しずつ視力が落ち、やがて失明する進行性の眼疾患ですが、ミニチュアダックスフンドやトイプードルなどに多いことが分かっています。

もし発症しても直ぐに気がつけば獣医師と相談しながら出来ることもあるでしょう。しかし実際には「気づいた時には視力の大部分を失っていた」というケースが少なくありません。犬や猫は嗅覚がとても優れており、ある程度までは視力が弱まっても問題なく動けるため、どうしても異変に気づきにくいのです。

失明したトイプードルの話

以前、飼い犬のトイプードルが「進行性網膜萎縮症」を発症したという飼い主さんにお話を伺う機会がありました。彼女は傍目にも分かるほど愛犬を大切にされており、日頃から健康チェックのため動物病院へも通っていたのですが、それでも病気が分かったときには視力のほとんどが失われていたと言います。

「動物病院には何度も行っていたけど、とくに何も指摘されなかったから安心していた」

「たまたま別の病院に行った時、そこの獣医さんが目を何度も確認していて…。そこで初めてこの子の目がボンヤリとしか見えていないことが分かった。」

「もっと早くに気づけていたらと今でも思う。進行を遅らせる方法もあっただろうし、もっといっぱい散歩して、もっと色んな所に連れて行ったのに。」

彼女は病院からの帰り道、愛犬に何度も「ごめんね」と謝りながら泣いたそうです。視力が落ちていても不安がることなく彼女の側で安心して過ごしているその子の様子をみると、どれほど大切にされているのか察するにあまりあります。

彼女は病気が分かる前から愛犬のためにできることは何でもしていましたし、食事や運動にも気をつけていました。それでも症状がある程度まで進行しなければ気づかないこともある、それがペットの病気の恐ろしいところでしょう。

身近な存在の小さな異変には気づきにくい

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どの飼い主さんもペットを深く愛していますよね。しかし、毎日一緒に過ごしていると、変化に気がつかないこともあるでしょう。とくに病気のサインは分かりやすいものばかりでは無いため、どうしても気づくのに遅れることも…。

病気のリスクは、発症前でも遺伝子検査で調べられます。普段からペットのどんなところに気をつけて見ておくべきか知るためにも、なるべく早いうちに検査を受けておきましょう。

犬猫の遺伝子検査で調べられる病気リスクと対象品種

犬用の遺伝子病検査で調べられる病気リスクと品種

下記に遺伝子検査で調べられる病気リスクと、それを発症しやすい品種(検査対象)を纏めています。また、ミックス種は両親または片親が検査対象の品種だった場合にのみ検査できます。(例:「チワプー」はチワワとトイプードルのミックス犬なので、進行性網膜萎縮症の検査が可能)

進行性網膜萎縮症(PRA)

視力の低下にはじまり、やがて失明する進行性の眼疾患。
【対象品種】チワワ/パピヨン/トイ・プードル/ヨークシャ・テリア/ミニチュア・トイプードル/ミニチュア・LH・ダックスフンド/アメリカン・コッカー・スパニエル/イングリッシュ・コッカー・スパニエル/ウェルシュ・コーギー・カーディガン/ゴールデン・レトリバー/ラブラドール・レトリバー/オーストラリアン・シェパード

セロイドリポフスチン症(CL)

運動障害や知的障害、視力障害などを発症し、進行すると死に至る。
【対象品種】ボーダー・コリー

遺伝性好中球減少症(TNS)

感染症にかかりやすくなり、やがて重度の感染症を患い死に至ることもある。
【対象品種】ボーダー・コリー

イベルメクチン感受性(MDR1)

フェラリア予防薬などに含まれるイベルメクチンという成分の投与により、傾眠や運動失調、嘔吐、死亡といった神経毒性の副作用が起こる恐れがある。
【対象品種】ボーダー・コリー/シェットランド・シープドッグ/コリー/イングリッシュ・シェパード/オーストラリアン・シェパード/ジャーマン・シェパード/ホワイト・スイス・シェパード

フォンウィルブランド病(VWD)

遺伝性の止血異常症。ケガや手術などの際に異常な出血を起こして死に至ることもある。
【対象品種】パピヨン/スコティッシュ・テリア/コーイケルホンディエ/シェットランド・シープドッグ/ウェルシュ・コーギー・ペングローブ/バーニーズ・マウンテン・ドッグ/ドーベルマン・ピンシャー

コリーアイ(CEA)

遺伝性の眼疾患。発症するタイミングや症状の程度は個体差が大きく、一生に渡り無症状ということもあれば、失明するケースもある。
【対象品種】北海道犬/ボーダー・コリー/シェットランド・シープドッグ/コリー/オーストラリアン・シェパード

GM1-ガングリオシドーシス(GM1)

全身の臓器に異常をきたす致死性の遺伝子病。柴犬に好発し15ヶ月齢までに死亡する。
【対象品種】柴犬

猫用の遺伝子病検査で調べられる病気リスクと品種

肥大型心筋症(HCM)

遺伝性の心臓病。心臓の筋肉が厚くなりし、症状が急激に悪化すると死に至る場合もある。
【対象品種】メインクーン/ラグドール

GM2-ガングリオシドーシス(GM2)

若齢期に進行性神経筋機能障害と発育不全が現れ、様々な組織に糖脂質が蓄積する致命的な遺伝性疾患。
【対象品種】日本猫

ペットの遺伝子検査は、病院でも自宅でも受けられる

家庭用の遺伝子病検査キットもある

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病気の遺伝子を持っているかどうかは、遺伝子検査で調べられます。しかも検査は一生に一度でよく、幼犬や幼猫でも受けられます

今は「家庭用の遺伝子検査キット」もあるので、遺伝子検査ができる動物病院が近くにない方でも受けやすくなっています。DNA採取は、専用の綿棒で口内を擦るだけでよく、痛みもありません。あとは投函するだけで後日結果が郵送されてきます。

検査を簡単に受けられるようになったことで、これからペット業界も少しずつ変わってくるのかもしれませんね。

動物病院と同じレベルの検査キットも登場

家庭用の遺伝子病検査キットはいくつかありますが、調べてみると「動物病院と同じ解析機関で調べられる商品」も一社ありました。

これまでは動物病院にいかなければ受けられなかった本格的な検査を、自宅でも受けられるのは大きなポイントです。病院までの移動時間や診察の待ち時間から開放されますし、自宅でできるため病院に行くストレスなどもなく、幼齢期の子でも検査できます。どうしても病院が大嫌いな子でも、リラックスして検査を受けられます。

「再検査可能な回数」「解析精度」「解析機関」で選ぼう

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家庭用の検査キットはいくつかの企業から販売されています。一生に一度の検査なので、しっかり納得できるものを使いたいところですよね。基本的には、3つのポイントを全て満たすものを選ぶと安心です。

  • 再検査に回数制限が無いもの
  • 解析精度や方法などが公開されているもの
  • 実績のある機関で調べているもの

これらの基準を満たさないものは誤った検査結果がでることもあるので注意してください。

商品のなかには「再検査は●回まで」と決まっているものもあれば、「正しい結果がでるまで何度でも無料で検査可能」としているものがあります。DNAの採取はとても簡単なのですが、食べかすがついていたり郵送時の状態が悪かったりすると解析データが乱れることもあります。もし再検査できる回数に制限があると、正しい結果が出ないまま報告書が送られてくる恐れもあるので注意が必要です。

さらに“解析精度”も大切です。情報非公開の企業が多いのですが、企業のなかにはしっかり解析方法や精度などを公表しているところもあります。そういう企業は信頼できるでしょう。

そして最後に解析機関ですが、先程も少しお話ししたとおり“動物病院も利用する機関”で調べている商品があるので、そういったものを選ぶほうが安心できます。

DNAファクターの「ペットドッグハブ」「ペットキャットハブ」

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『DNA FACTOR』社から出ている遺伝子病検査キットは、先ほどのポイントをすべて満たしています。

  • 正しい結果がでるまで再検査は無料で何度でも可能
  • ダイレクトシークエンス法を用いており、解析精度が99.99%と非常に高い
  • 動物病院も利用する“動物専門の解析機関”で検査

ここは『子供の能力遺伝子検査』という検査キットでも評判の企業です。以前TV番組の『さんタク』で明石家さんまさん、木村拓哉さんが受けていた遺伝子検査も『DNA FACTOR』社のものだったので、ご存知の方も多いかもしれませんね。

販売されているペットの遺伝子病検査キットは、犬用の『PET DOG HAB』と、猫用の『PET CAT HAB』の2種類があります。

遺伝子検査は早めに受けよう

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遺伝子検査は幼齢期の犬猫でも受けられるので早めに受けておきましょう。

最初からリスクが分かっていると、「夜の散歩を怖がっていないか」「物にぶつかるなどしていないか」など普段気をつけて見ておくべきポイントが分かるので、もしなにか異変を感じたときに「気のせいかな?」と見過ごすことも減ります。その結果、病気の早期発見に繋がり、かかりつけ医のもとで適切な処置やアドバイスを受けられるようになります。

遺伝子病は発症するまで外見で判断はできません。発症してもかなり進行して気づくケースもあります。ペット達は人の言葉で不調を伝えられないので、病気を早期発見できるかどうか、全ては飼い主さんにかかっています。

愛犬愛猫が少しでも長く幸せな時を過ごせるよう、一度検査を受けてみてはいかがでしょうか。

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