愛犬と絆を深める【Silence communication】とは

愛犬と絆を深める【Silence communication】とは

飼い主さんと愛犬の間にはたくさんのコミュニケーション方法があります。遊びやしつけなども、その一つです。今回はコマンド、ハンドサインなどを使わない【Silence communication】をご紹介します。愛犬との間にある見えない信頼関係を感じてみてください。

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Silence communicationとは

飼い主の指示に従う犬

Silence communication=無言のコミュニケーション

愛犬に指示を出したり、しつけをしたり、声をかけることはたくさんあります。飼い主の指示にしっかり従える、言った通りの行動をとれるしつけをすることはとても大切なことです。正しいしつけは、愛犬の命を守るために必要不可欠で、健康管理をするうえでも絶対に必要なことです。

遊びを通して信頼関係を築き、日頃から正しいしつけ、正しい接し方で愛犬と暮らしている飼い主さんは、愛犬にたくさんの言葉をかけています。

犬は習慣学習する動物なので、言葉と行動を合わせてしつけると指示に合わせて行動できるようになります。また、いつも同じ状況で同じ支持を出せば言わずとも望む行動をするようにもなります。トイレトレーニングなどがこの代表的なしつけ方法です。

犬をコントロールするのにはコマンドやハンドサインは欠かせないものです。ですが、犬は自ら考える優れた力を持っています。コマンドやハンドサインが無くても、飼い主さんの思っていることしてほしいことはなにか?実はいつも考えてくれています。

愛犬と無言でコミュニケーションをとってみましょう

じっと指示を待つ犬

まずは、愛犬が落ち着いて過ごしている時にはじめてみましょう。飼い主さんから出る雰囲気は、平常心であるようにします。※愛犬のいつもの睡眠時間以外の時間に行ってください。

1 愛犬の視界に入るところで静かに立って意識を愛犬へ向けてみましょう。

【名前を呼ばない、興奮しても声をかけない、触らない】

2 愛犬の反応を観察します

-1:静かに近寄ってくる
-2:見向きもしない、または顔や目だけ飼い主さんを追う
-3:興奮して騒ぎ出す
-4:慌てて困る

3 愛犬の反応によって愛犬の心の状態を把握することができます。

-1の場合

愛犬が無言で立っている飼い主さんの所へ静かに近づいてきて、顔を見たり臭いを嗅いだりする場合は、何かすることはないか?指示はないか?と飼い主さんの気持ちを知ろうとしています。

-2の場合

リラックスしていて、呼ばれない時は行かない。精神状態が自立して、落ち着いている犬に見られる反応です。飼い主との生活が長く行動パターンが分かっている犬は、ほとんどが飼い主さんが立ち上がったくらいでは反応しません。顔をあげたり、目で追ったりして行動を確認して、必要なければ動きません。

-3の場合

常に飼い主さんの動きに敏感に反応しています。遊びなの?おやつなの?散歩なの?なに?なに?と、期待が現れています。また、吠える、警戒状態になるなどの興奮が見られる時は常に精神状態が緊張しています。

-4の場合

分離不安気味、依存症気味で立ち上がった飼い主さんがどこかへ行くのではないか?姿が見えなくなるのではないか?おいて行かれるのはないか?とソワソワしはじめます。-3と-4の、興奮とソワソワの区別がつきにくいことがありますが、愛犬の表情や日頃の様子から判断してください。

4 愛犬の反応にかかわらず、そっと目を見つめてみる

アイコンタクトではないので、見つめたり逸らしたりしながら、体は愛犬の方へ向けたまま待ってみましょう。
どの反応を見せたとしても、とにかくじっと、柔らかい表情で【待つ】ようにします。

その後愛犬が自らする行動は、自ら考えて選んだ行動です。

  • 飼い主の目の前に静かに座って目を見つめてくる
  • おもちゃを持ってくる
  • 足元に伏せて寝る
  • お手や伏せなど特技をして見せる
  • 背中を見せて座る
  • お腹を見せる
  • 可愛いポーズをして見せる
  • 吠える
  • 飛びつく
  • 無反応 など

どの行動を見せたとしても、これはトレーニングではないので正解も失敗もありません。絶対に叱らないでください。笑顔で、優しい雰囲気で愛犬が見せる行動に理解を表します。そっと、体の側面を1,2回さするだけで過剰なリアクションは必要ありません。

さて、それぞれの行動は異なりますが、愛犬は何を望まれているのか一生懸命考えてくれました。

あなたの愛犬の行動は?

あなたの愛犬の行動はどんな行動を見せてくれましたか?飼い主さんからの支持を待つような行動やしぐさを見せたのであれば、愛犬は飼い主さんが自分に指示を出そうとしているのではないか?と【察して】さらに【待つ】という選択をしています。

遊びに誘ったり、特技を見せてくれたりした愛犬は飼い主さんを喜ばせたい。褒められたい、こんなことをしたら喜ぶかな?と【アピール】を選択しました。

お腹を見せたり、背中を向けたり、静かにそっと座ったりする愛犬は、心の繋がりや服従心を表して【愛情表現】を選択しています。

吠えたり、飛びついたりする愛犬は、【要求、質問】をぶつけています。つまり、どうしていいか分からない気持ちを伝えています。

終始無反応だった愛犬は・・・眠かったのかな(笑)?
違うタイミングで試してみてくださいね。

どんな反応を見せたとしても、愛犬は【何かしよう】【何を求められているの?】と考えてくれたのです。そして、それがいつもの生活の中で習慣になっている行動以外のこと。飼い主さんが予想していたのと違う行動だった時も、愛犬の意思や感情を理解できます。飼い主さんがしてほしいことと、愛犬がしてあげたいこと、これは意外と違っていたりするので、面白いのです。

目には見えないけど確かな信頼関係

散歩に行きたいことを訴える犬

飼い主さんからのコミュニケーションは【言葉】【触れ合い】が多くなります。大好きだよ、ありがとう、可愛いねと言って愛犬を撫でて愛情を表現したくなります。

では愛犬からの愛情表現にどのくらい気が付いているでしょうか?

ふと視線を感じることがありませんか?

静かに寝ているのかな?と思ったらこちらを見ている愛犬と目が合うことありませんか?もしかしたら犬はこんなことを想っているかもしれません。

  • 愛犬は大好きな飼い主さんを見つめて幸せな気持ち
  • なにかしてほしいけど待っている
  • 自分の気持ちに気が付いてほしいと見つめている

そんな時、silence communicationを使って愛犬のしてほしいことや気持ちを感じとってみましょう。

1 目が合ったら声をかけずに見つめ合ってみる

おいでのジェスチャーや名前を呼ぶなどはせずに見つめます。

2 笑顔を見せる

優しい表情で、穏やかな雰囲気で愛犬に意識を向けます。

3 愛犬の行動が今飼い主さんにしてほしいことや気持ちです。

-1:手の届くところに来て体を預けてくる
-2:抱っこや手を舐めるなど甘えてくる
-3:尻尾だけをふって近づいてこない
-4:ものすごい勢いで突進してくる
-5:近くにきてさらに見つめる
-6:手やお腹を出す、見せる
-7:顔を舐める

4 愛犬からのメッセージを受け取ってみましょう。

-1の場合

飼い主さんが愛犬を撫でるのと同じ気持ちです。愛犬も飼い主さんのことを愛しく大切に想っている気持ちを伝えてくれています。

-2の場合

触ってほしい、抱きしめてほしい。眠い、甘え、好きな人に触れたいという気持ちです。

-3の場合

ここにいるよ。同じ気持ちで嬉しいよ。見つめ合ってるだけで幸せだよ。という気持ちです。
※動くのがめんどくさいからって尻尾だけ振って(笑)というのは、半分誤解です。行かなくても見つめ合うだけで伝えあえる絆があると思って、ちょっとめんどくさいので尻尾で伝えていることもあるかもしれません(笑)大型犬など。

-4の場合

【待ってました!】良いの?遊べるの?ずっと気が付いてくれるの待ってたんだよ!きっと、時間を持て余しなにか一緒に遊べることはないか?飼い主さんが気が付いてくれるのを待ちに待っていたのでしょう。

-5の場合

近くまできて、さらにアイコンタクトを取ろうとする場合なにか伝えたいことがあるようです。

  • お水入ってますか?
  • おやつ忘れてませんか?
  • トイレの時間ではありませんか?
  • ただただ、大好きで見つめてくれることもあります。

-6の場合

仲良くしたいです。服従しています。大好きです。私のこと好きですか?飼い主さんへの愛情表現と、飼い主さんの気持ちを伝えてほしいと思っています。

-7の場合

愛情表現でもありますが、少し不安なことがあるかな?大丈夫?どうしたの?愛犬の不安な気持ちと、飼い主さんを心配する気持ちの両方があります。

こんなにもたくさん、愛犬からの愛情表現や気持ちを伝える行動があるのです。一方通行のように感じるかもしれませんが、愛犬と飼い主さんは両思いなのです。

しつけだけが意思の疎通ではないということ

犬に理解させ、伝えコントロールすることが、愛犬との意思の疎通をするために重要視されますが大切なことはそれだけではありません。愛犬からの気持ちを、感じとれる【飼い主力】もとても大切です。

しつけでも、トレーニングでも、コントロールでもないsilence communicationは、心と心の会話として日常生活にぜひ取り入れてほしいのです。

いつでも、どんな時でもできます。飼い主さんはただ、愛犬を優しい気持ちで見つめて待つだけで良いのです。正解も間違いもありません。愛犬が見せてくれる行動を理解して認めるだけです。

多くの飼い主さんが自然としているsilence communicationですが、しつけや愛犬の気持ちが分からないと不安になったり、信頼関係ができているのか?迷ったりした時は、試してみてください。「言わなくても何となく愛犬の気持ちがわかる」という飼い主さんは、自然とsilence communicationをとっています。

心に余裕をもって愛犬との時間を大切に

ハイタッチをする犬と人

なぜsilence communication=無言のコミュニケーションが大切なのか?どうして絆が深まるのか?それは、心に余裕をもって【待つ】ということを飼い主さんが身につけてあげるだけで、愛犬との心の会話が100倍スムーズになるからです。

しつけの失敗は、焦りと誤解からはじまります。ほんの一時、愛犬に考える時間を持たせて飼い主さんが待ってあげれば...焦らずに、愛犬が自ら気が付くタイミングを待ってあげれば...正しく愛犬に飼い主さんの気持ちが伝わったことでしょう。

ですが、待てない飼い主さんの焦りから、愛犬は理解不足と誤解で混乱し指示を聞くことができずに一方的に叱られています。自信をなくし、信頼関係を作りきれず悲しい気持ちになっています。【何度言っても出来ない、伝わらない】と感じることがあれば、それは愛犬の問題ではないことがほとんどで、飼い主さんの伝え方の問題なのです。

愛犬からの心のメッセージは、問題解決の近道です。silence communicationを通して、愛犬の精神状態を把握しどんな風に考えているのか?誤解していることはないか?小さなきっかけの一つにしてみてはいかがでしょうか?

誤解している愛犬

落ち着きがなく、言うことを聞いてくれない。指示をまったく聞かない。

このような犬にsilence communicationを取ってみると、大はしゃぎで飛びついてきたり、甘噛みをしてみたり、時には吠えて何かを訴えたたりします。飼い主さんは、いつも「お座り」「静かに」と教えているのに、飼い主さんからの指示はすべて【元気に遊ぼう♪ルン♪ルン♪】だと勘違いしているのです。

目を見つめて、指示を出す。それがこの犬にとっては【遊び】のスイッチになってしまっています。この状態で、なんど「お座り」と指示を出して体を抑えようとしても全く伝わりません。それどころか、愛犬からしてみれば、なんでいい子にしてるのに褒められない?怒られる?なんで?なんで?となっています。

この犬が自ら考えしている行動は、元気いっぱい飼い主さんと遊ぶことが何よりも【良いこと】として覚えているためです。怒ったり、無理に押さえつけても、卑屈になるだけで改善はしません。まずは、最初から指示と行動を合わせていくことからやり直さなければなりません。silence communicationは、飼い主さんと愛犬の認識の違いを発見するのにも役立ちます。

犬の考える力を引き出すポイント

首を傾げて考える犬

silence communicationは、日常生活のどんな時でも使えます。ご飯を前にいつも、「待て」「お座り」「お手」「伏せ」などをさせているのであれば、なにも言わずに待ってみましょう。勝手にご飯を食べてしまうのであれば、愛犬にとって指示を守ることが徹底されていないことが分かります。

食事の際の決まったパターンは、日常生活のしつけをするうえで特に重要なことではありませんが、しつけとしてさせるのであれば守らせなければいけません。

  • 「トイレ」と指示を出さなくても、トイレに行って排泄ができる。
  • ドアの前で「待て」と指示を出さなくても、「よし」と言われるまで出ない。
  • 信号では「待て」と指示を出さなくても一旦止まる。
  • ご飯の前に待たせるのであれば指示をしなくても勝手に食べない
  • 飼い主の足が止まれば一緒に止まる

これらは、本来徹底したいしつけの基本です。指示が無くても習慣で身についている状態が望ましいですね。

愛犬にしつけを徹底させるには考えて行動させ成功させてあげることが近道です。

指示を出さなければ座れない。
指示を出さなければ勝手にご飯を食べ始めてしまう。

そんな時、愛犬に考える時間を与えるのが、思考力を高めるポイントです。

いつも決まって指示を出すタイミングで指示を出さず待つ。

愛犬が自らいつも通りの行動をとるまで待ってみます。一度で、たどり着かない場合もあるので叱らずに待ってもできない時は普段通りに戻します。何度も、無言で待って愛犬を見て考える時間を持たせてみましょう。自ら考えてとった行動が正しいと理解すれば、指示を出さなくてもできるようになります。

お散歩のトレーニングなどで「止まれ」「待て」と声を荒げるより、飼い主が静かに止まります。愛犬と繋がっているリードがピンと張った状態から、飼い主の所まで戻ってきて顔を見上げるまでじっと待ってみる方が、飼い主の指示が正しく伝わります。そこに言葉はいらない場合が多いのです。

まとめ

老人とベンチでくつろぐ犬

いかがだったでしょうか?silence communication=無言のコミュニケーション。読んでみると、なーんだ、難しいことじゃなくていつもやってた☆と思われた飼い主さんも多いと思います。

犬は頭が良いから人間の言葉を理解して、指示に従える。とよく言われますが、考え、判断し、修正し、理解する。すべての能力があるのです。

心や気持ちを理解するのが犬は得意です。雰囲気、表情、行動、空気、声のトーン、たくさんのことを観察しています。そして、飼い主さんの役に立てることはとても嬉しいことです。

ぜひ、愛犬からの静かな静かな愛のメッセージを多くの飼い主さんに受け取ってほしいと思います。

長年共に暮らしてきて、完全に意思の疎通が取れているパートナー同士の飼い主さんと愛犬には、そこに居るだけで分かり合える絆があるので【無反応】なこともあります。

長年連れ添った愛犬とは【言わなくても分かってるでしょ♪】ができる関係を作り上げられたら最高ですね!

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