犬の歯磨きをしばらくしないとどうなる?考えられる危険なこと5選

犬の歯磨きをしばらくしないとどうなる?考えられる危険なこと5選

歯周病にかかる犬は大変多くいますので、毎日の歯磨き習慣はとっても大切です。犬の場合、歯垢が歯石に変わってしまうまでの時間はたった3日程度しかないと言われています。今回は、歯磨きをしばらくお休みしてしまった時に犬のお口の中でどのようなことが起こるのかを解説いたします。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

1.歯石が溜まる

歯石が少し溜まっている犬の歯

歯垢はたった3日で歯石になる

犬の口内環境はアルカリ性に傾いており、犬の唾液には人間の唾液のように炭水化物を分解する酵素が含まれていません。そのため、犬のお口の中は歯が菌に侵食される"虫歯"にはなりにくい環境です。しかし、歯磨きを怠ると歯垢が歯石となり沈着するのは人間と同じです。しかも、犬の口の中では歯垢はたった3日で歯石に変わってしまうのです。

歯石になると超音波スケーラーで除去する必要がある

歯垢とは食べた物から栄養を得た口内細菌がかたまりになった状態のもので、粘り気はありますが歯ブラシでおおむね除去することができます。しかし、歯垢を除去しないで放置しているとカルシウムなどと混ざり合って硬い歯石に変わります。歯垢が歯石になってしまうと歯ブラシで除去することが難しく、超音波スケーラーという特別な器具で除去する必要があります。

歯石は歯の根元に付きやすいので、歯石が付いてしまうと歯肉と歯の隙間である"歯周ポケット"に歯ブラシが届かなくなります。歯周ポケットが不衛生になると歯周病はどんどん悪化してしまいます。

2.歯が抜ける

口を開けた犬の顔アップ

歯周病が進行すると歯茎の状態も悪化します。歯茎がぶよぶよと腫れてしまったり、歯ブラシを当てただけで出血してしまったりする"歯肉炎"を起こしてしまいます。これは歯磨きを怠ったために口内細菌が増殖してしまったことが原因です。炎症が歯を支えている部分の歯肉である歯周組織に起こると、歯を支えられずにグラグラしてしまい、歯が抜け落ちる要因となります。

3.あごの骨折

犬の頭のレントゲン

歯周病が進行すると、歯だけではなくあごの骨にも細菌が影響を及ぼします。歯を根元で支える部分のあごの骨である"歯槽骨"が溶けていき、歯が抜け落ちてしまいます。さらに進行すると歯が抜けるだけではなく、あごの骨にまで強い影響が及び、下あごが骨折してしまうという重篤なケースもあります。

4.頬や鼻から膿が出る

歯石がかなり付着した犬の歯

上の犬歯は鼻のすぐそばまで深く生えている

口内細菌が繁殖すればするほど、細菌感染がひどくならないように白血球が感染と戦います。その結果、歯の根(歯根部)や歯茎に膿が溜まることがあります。犬の上の犬歯は根が深く、その根元は鼻のすぐそばまで及んでいます。そのため、歯茎で溜まった膿が鼻に貫通してあふれ出てしまったり、目の下や頬の部分を貫通してあふれ出てきたりすることもあります。

くしゃみで鼻から大量の膿を出した愛犬

私の愛犬は保護した時点ですでに歯周病が悪化していたのですが、あるときくしゃみをした際に大量の膿が鼻から出てきたことで、歯周病治療の手術を決意しました。手術後には顔や目がパンパンに腫れあがり、目の下から溜まっていた膿が貫通してあふれ出てきました。手術で抜いた歯やあふれ出た膿からは強烈な悪臭がしましたが、手術をして回復したら愛犬の口臭は劇的に改善されました。

5.命にかかわる恐れも

病院で抜歯手術を受けている犬

歯周病は口臭が悪化したり歯が抜けたりするといった問題だけではなく、最悪の場合には命の危険のある恐ろしい病気です。増殖した細菌が血流に乗って全身を巡ってしまい、心臓や肝臓、腎臓などの臓器に悪影響を及ぼして慢性心不全や慢性腎不全などの重篤な病気へと繋がってしまう恐れがあるのです。

麻酔下で治療する必要性

人間と違って、犬はどうしても治療時に動いてしまいます。無麻酔での歯石取りを行っているところもありますが、歯周病が進行している場合は根本的な治療のために麻酔下でしっかりと歯石を取り除き、抜歯などの処置が必要な部分をしっかりと治療することが重要です。

麻酔にはリスクがあり不安になってしまいますし、費用もそれなりにかかります。しかし、ぜひ根本的な治療を行える麻酔のメリットにも目を向けて治療を検討してあげてください。わんちゃんが高齢な場合は身体への負担も大きくなりますので、獣医師とよく相談して治療方法を選択してあげてください。

まとめ

獣医師に歯磨きされるシェパード

くしゃみをした愛犬の鼻から大量の膿が出たとき、私は事態の深刻さに背筋が凍りました。麻酔に不安はありましたが、手術を受けた後で口臭が劇的に改善したことや、愛犬が元気にごはんを食べている姿を見たときに、手術を受けて良かったと感じました。大変な思いをして手術を受けてくれた愛犬のために、それからは毎日の歯磨きを頑張って続けています。

犬の口内環境では、歯垢はたった3日程度で歯石へと変わってしまいます。歯石が溜まって歯ブラシがしっかり届かなくなると、歯周病菌は増殖を続けて歯肉に影響を及ぼします。さらに進行すると歯が抜け落ちるだけではなく、あごの骨が骨折したり膿が鼻や頬から貫通してあふれ出たり、菌が全身を巡って最悪の場合は命にかかわる病気に繋がる恐れもあります。

歯磨きに抵抗があるわんちゃんは多いので、手こずってしまうこともあるかと思いますが、愛犬の健康のために毎日の歯磨き習慣をつけていきましょう。

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