脂質は必ずしも悪者じゃない!愛犬の健康をサポートするオイル3種

脂質は必ずしも悪者じゃない!愛犬の健康をサポートするオイル3種

健康のことを考えるとき悪者にされがちな油脂類ですが、犬の健康のために積極的に摂りたいオイルもあります。お勧めの3種をご紹介します。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

オイルや脂肪「脂質」は犬にとって大切な栄養素

ポメラニアン

犬の食事に限らず、油や脂肪というと「健康に悪い」「控えるのがヘルシー」という印象がありますが、タンパク質や炭水化物と並んで脂質は大切な三大栄養素のひとつです。犬にとってエネルギー源であるだけでなく、皮膚やコート、関節の健康のためにも大きな役割を果たしていて、不足すると健康を損なってしまいます。

この記事では中でも積極的に摂りたいオイル4種をご紹介します。

脂質の主成分「脂肪酸」これがポイント!

転がっているポメラニアン

最初にちょっとややこしいお話をしますが、大事なポイントなのでお許しを。

お肉の脂身や各種オイル類といった脂質の主成分は脂肪酸という物質です。脂肪酸には様々な種類があり、脂質を構成するグリセリンという物質に結合して存在しています。よく耳にするリノール酸やアルファリノレン酸は脂肪酸の種類のひとつです。それぞれの脂肪酸は体の中で様々な働きや作用をするので、摂取した脂質にどんな脂肪酸が含まれているかが健康に影響します。

健康をサポートするオイル3種

滴るオイル

では、愛犬の健康をサポートするためにお勧めのオイル4種類をご紹介していきましょう。

1.フィッシュオイル

サーモンや青魚、タラなどに含まれるオイルです。皆さんもよく耳にしたことがあるEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)という脂肪酸を含みます。

EPAは体内の炎症を抑える働きがあります。アトピー性皮膚炎や関節炎など炎症がある場合には積極的に摂りたい成分です。また体の免疫機能を調整する働きもあります。

DHAは脳の機能に重要な役割を果たします。認知症を予防する食事として魚が推奨される理由のひとつです。柴犬など和犬では脳にDHAを蓄えることができません。これは日本の犬はタンパク源として魚を与えられることが多かったため蓄える必要がなかったためと考えられます。そのため和犬では現代の肉中心のドッグフードでは認知症が発症しやすいとも言われています。

和犬には特に積極的に与えたいのがフィッシュオイルです。フードにトッピングして与えても良いのですが酸化しやすいオイルなので、ソフトカプセルタイプが使い易いです。

2.亜麻仁オイル

フラックスシードオイルとも呼ばれる、ゴマに似た形状の種子から採れる植物性のオイルです。アルファリノレン酸という脂肪酸を含みます。アルファリノレン酸は犬の体内でEPAに変換され、抗炎症作用や免疫調整機能を発揮します。

犬によってはこの変換機能がうまく作用しない場合もあるので、フィッシュオイルの方が犬の体にはなじみやすいのですが、魚にアレルギーがある場合などは積極的に使いたいオイルです。

酸化しやすいオイルなので加熱せずに使います。多く摂りすぎるとお腹がゆるくなる場合もあるので、ソフトカプセルタイプが適量が把握しやすく使い易いです。

3.ブラックカラントオイル(カシスオイル)

ちょっと馴染みのない名前のオイルかもしれません。日本語ではクロスグリやクロフサスグリと呼ばれる植物の種子のオイルです。含まれる脂肪酸はリノール酸が一番多いのですが、アルファリノレン酸とガンマリノレン酸の両方を含むことが大きな特徴です。

リノール酸は体内でガンマリノレン酸に変換されます。ガンマリノレン酸は免疫機能の調整やアレルギー反応を抑える働きがあります。しかし、リノール酸をガンマリノレン酸に変える力は年齢とともに低下していきます。ガンマリノレン酸に変換されずに体内に入ったリノール酸はアレルギー反応を促進させるという働きがあるので、体内で変換する必要なく最初からガンマリノレン酸の形で含まれているオイルはありがたい存在です。

他のオイルや脂質は体に悪いの?

オイル

ここで挙げた3種類のオイルはどれも、EPA、DHA、アルファリノレン酸というオメガ3系脂肪酸を含むオイルです。

脂肪酸の中には必須脂肪酸と呼ばれる、体内で合成することができないので食物から摂取しなくてはいけない種類が2つあり、ひとつがオメガ3系脂肪酸、もうひとつがオメガ6系脂肪酸です。
オメガ6系脂肪酸の代表はリノール酸やアラキドン酸です。
リノール酸は大豆油やコーン油など身近なオイルに豊富に含まれ、アラキドン酸は卵黄や肉類などに含まれます。これらは市販のドッグフードの原材料にしっかりと含まれているので、わざわざオイル単独で摂取する必要がないのです。

ですから、ここで挙げたオイル以外の脂質が体に悪いというわけではありません。お勧めのオイルも含めて、犬の体に合わせた適量を摂取することが大切です。

まとめ

頭に葉っぱを乗せている嬉しそうなフレンチブルドッグ

犬の健康をサポートするオイル3種、フィッシュオイルと亜麻仁オイル、ブラックカラントオイルを紹介しました。

この3つは普段の食生活で不足しがちな脂肪酸を含むオイルなのですが、プレミアムフードなどには配合されている場合も多いので、フードの原材料一覧をしっかりと確認して摂りすぎにならないように注意をしましょう。手作りごはんを作っている飼い主さんには食材として積極的に取り入れることをお勧めします。

3種のオイルは人間にも同じように効果的なので、愛犬といっしょにご家族全員の健康サポートにもお使いくださいね。

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