手作りご飯のいい点と注意点
犬の餌を手作りごはんにする最大のメリットは、個体の健康状態に合わせて栄養のバランスを調整できることです。そして市販のドッグフードに含まれる添加物や着色料などを摂取せずに済むのも大きな利点です。また量販店などで売られているドッグフードの多くは穀物が沢山含まれている事があり、犬本来が持つ食性に合わない物があります。これは、穀物に含まれる栄養素を代替品として使うことで、商品の値段を下げることが目的ではないでしょうか。
手作りごはんであれば、不要な添加物・酸化防止剤・着色料などは入れる必要がないので、犬本来の食性に合わせた栄養素をベストな形で与えることができます。材料は全てスーパーで手に入る物で作ることができます。また、定期的な健康診断を行って、愛犬の体調や体質に合わせて与えることで健康維持にも大きな役割を果たします。
メリットとしてもう一つご紹介できるのは、犬の肉体的な健康だけではなく精神的な健康や、学習能力の向上にも大きく貢献できることです。
注意点として、犬に与えてはいけない食材があることを知っておきましょう。一般に、ユリ科の植物(ネギ類・ニンニク・ニラ・らっきょう)、チョコレートやココアなどのカカオ類、ぶどうやレーズン、ナッツ類、スルメ、貝類は避けましょう。また事前に食物アレルギーなども確認しておくことも大切です。
犬が野生で生きていることを想像すれば、何が必要かが理解しやすいと思います。犬は雑食性の肉食動物です。肉食動物である犬は、草食動物やげっ歯類を狩り、食べています。鹿や豚、牛や馬などは犬にとってはご馳走です。しかし、肉食だからといって植物を必要としないわけではありません。獲物を捕らえた犬はまず、内蔵から食べ始めます。これには意味があり、草食動物が食べて分解した植物を接種することで、植物の栄養素を取り入れているのです。肉食である犬は生の植物を分解することが苦手なので、そうやって草食動物が内蔵で分解した栄養素を摂るわけです。もし野菜などの植物を与える際は、しっかりと火を通して消化し易い状態にしましょう。
また、炭水化物を過剰摂取するとエネルギーとして使用されなかった場合、主に脂肪として体内に蓄えられるので注意が必要です。
手作りご飯の簡単テクニック
さて、簡単手作りごはんのレシピをご紹介します。この方法で我が家の犬達も元気に暮らしています。
分量は体重15kgの犬の一食分で記載しています。
材料は全体の量に対して肉が65%程度になるようにしています。最低値は55%です。高年齢の犬の場合では高カロリーになりやすいので、肉の割合を減らすか、ササミ肉を使用します。
分量
肉類156g(パターン1と2を使い分けることで変化を持たせます)
パターン1
- 鶏のむね肉125g
- その他の肉類31g(レバー・モツ・牛・ラム・豚などをローテーションで変える)
※豚は脂が多いので体重を増やしたい時に使用する
パターン2
- 鶏のむね肉75g
- その他の肉類31g(レバー・モツ・牛・ラム・豚などローテーションで変える)
- トッピングに使う肉類50g(生馬肉やプレミアムフード)
※豚は脂が多いので体重を増やしたい時に使用する
野菜類
- セロリ・キャベツ・ブロッコリーなどのミックス12g
量増しに使う材料(炭水化物を含む)
- ジャガイモ1/2程度
- 炊けた白米10g
- 乾燥おから1g
その他の材料
- 炒め用にオリーブオイル適量
- 水60ml
作り方の手順
- 肉とイモを1cm角に切る。野菜をみじん切りにする。
- 鍋にオリーブオイルを入れて肉を炒める。火が通ってきたら芋や野菜を入れて軽く炒める。
- 水を入れた後に灰汁を取る。
- ご飯・乾燥おからを入れて弱火で20分ほど煮る。
- ご飯がふやけるまで置く(半日程度)。
ー完成ー
これらをまとめて作り、タッパに入れて冷凍します。与える時は、食べる分だけを鍋にかけて人肌に温めます。与え方は、いつも食べているフードと同じ位の量(目分量)で与えます。犬が太るか痩せるかでご飯の量を調整するようにしましょう。
その他の注意点として、肉や魚、野菜(ユリ科を除く)は基本的に何でも食べれますが、犬が食べてはいけない食材には充分に気を付けましょう。
生肉の与え方について
生肉などを最初に与えると腸内細菌の変化により下痢を起こします。下痢が確認されたら、治るまでの間は生肉を与えるのを止めます。再度生肉を与えてみて下痢をしないようであれば少量ずつ生肉を与えて頂いても大丈夫です。冷え症や老犬は体質的に生肉が合わない子もいます。生肉で下痢をするようであれば加熱した肉を与えましょう。
監修食育指導士による補足
犬に性格の違いがあるように、食事にも合う合わないや好き嫌いはあります。ドッグフードでも大丈夫な子、火を通したご飯が合う子、生食が合う子など。
手作りご飯が良いともドッグフードが良いとも一概には言えません。飼い主さんがやれる範囲でトッピングだけ手作りや休日だけ手作りなどでも大丈夫です。無理せず楽しく続けることが一番です。
まとめ
犬の手作りごはんの作り方を簡単にご紹介しました。中にはアレルギーが沢山あって食べれる食材が限られている個体もあるかと思いますが、健全な食事を与えることで免疫力の向上が期待できます。実際にアレルギーの持った犬でも手作りごはんならアレルギー反応が出ないという事もあります。最初はドッグフードと混ぜながら少量づつ与えて、アレルギー反応が出ない事が確認できたら、徐々に手作りごはんの割合を増やしていきます。こうすることで安全に、かつスムーズに切り替えができます。
また、動物病院で定期的に健康診断での血液検査を行い、各数値が正常かを確認しましょう。獣医師とも相談して愛犬の体質や状態を見定めながら、ベストな食事を作ることが何より大切になります。最近では獣医師にも手作りごはんに詳しい方がいます。症状に合わせた食材を獣医師に教えてもらうのも良いでしょう。
ベストな食事を与えることができでば、愛犬はなにより元気ですし、 毛艶も良く、涙やけなども直ぐに治まります。肉球の艶も良く なります。更には犬の行動にも影響を及ぼします。 学習能力が向上し、穏やかな犬になるためにも、健全な食事はとても重要 だと実感しています。
犬の手作りごはんについては書籍もたくさん出ています。一読の価値はあると思います。
それでは愛犬の皆さん、美味しい手作りごはんを期待しましょう!
ユーザーのコメント
女性 匿名
犬には米などの穀物を使わない、グレインフリーのフードがあるので穀物を使うのは控えています。
40代 女性 きらり