犬は生肉を食べていいの?危険な種類やリスク、誤食時の対処法

犬は生肉を食べていいの?危険な種類やリスク、誤食時の対処法

犬の食事に生肉が良いと言われていますが、人間は食べてはいけないと言われている生肉を犬に与えても大丈夫でしょうか?今回は生肉について解説します。

犬に生肉を食べさせても大丈夫?

色々な生肉と犬

基本的には、犬は生肉を食べることができます。犬はオオカミが祖先なので、生肉を与えることが、自然で健康維持にも効果があるとの考え方から生肉をベースとした食事方法もあります。

これはローフードとも呼ばれ海外では人気がありますが、賛否両論あり議論されています。

犬が積極的に生肉を食べることは推奨されていない

犬に積極的に生肉を与えることは、獣医学的には、推奨されていません。

まず、犬は人と長く生活していく過程で雑食へと進化し、オオカミとは違う遺伝子を持っています。そのため、必要な栄養素も変化しており、現在の犬に野生時代の食事を当てはめて考えることはできません。

次に、生肉には食中毒を引き起こす細菌やウイルス、寄生虫などが潜んでいます。健康な成犬であれば、発症することは少ないですが、幼犬や老犬、免疫力が低下した犬では全身感染を起こし死亡する可能性もあります。

しかし、生肉を絶対に食べてはいけないとは言われていません。ローフードを安全に与えるためには、獣医師による定期的な健康診断や家庭で生肉を適正に扱う必要があると考えられています。

生肉食のデメリットはメリットを上回ることもある

ローフードを犬に与えることで以下のようなメリットがあると言われています。

  • 生きた酵素を摂取できる
  • 皮膚の状態や毛並みが良くなる
  • 筋肉量が増える
  • 体臭や便臭が減少しる
  • 歯石が付きにくくなる

実際に、皮膚の状態が良くなった犬もいるようです。しかし、このようなメリットには、明確な科学的根拠が示されていません。

例えば、生きた酵素が摂取できるとありますが、口から入った食物は消化液によって消化され構造が変化し、アミノ酸の状態になってから体内に吸収されます。

つまり、酵素を口から摂取しても構造を変えずに、体内に入り効果があるとは科学的に証明できません。

一方で、デメリットは科学的根拠があり、汚染された生肉を食べた犬だけでなく、飼い主さん家族や獣医師や他の犬猫にまで感染するリスクがあります。幼児や妊婦、病気の人、高齢者は、特に注意が必要です。

犬が生肉を食べるリスク・デメリット

元気のない犬

犬は、腐敗した肉を食べてもお腹を壊さないと言われていますが、そんな事はありません。

確かに胃液は強酸性で細菌や病原体も分解することが出来ますが、病原体が産生した毒素は分解することはできません。そのため犬も食中毒になる可能性があります。

細菌やウイルスによる食中毒の危険がある

生肉には、サルモネラ菌やカンピロバクター、大腸菌、リステリア菌、E型肝炎ウイルスなどの様々な細菌やウィルスが検出されています。

また、豚の耳や牛の蹄のおやつからも細菌が検出されています。おやつを与えた飼い主さんが感染しています。おやつを与えた後にも手洗いをすることが推奨されています。

これらの細菌は、生肉を触ったり舐めたりするだけでも、感染する可能性があります。また、人にも感染するので、生肉を調理する際には、手洗いが必要です。

細菌やウイルスに感染すると以下のような症状が現れます。

  • 嘔吐や下痢
  • 血便
  • 発熱
  • 痙攣
  • 元気がなくなる
  • 泡を吐く
  • 呼吸困難

頻繁に嘔吐や下痢を繰り返すと脱水症状をおこすこともあります。

寄生虫に感染しやすくなる

生肉に潜んでいる寄生虫は、トキソプラズマや住肉胞子虫、旋毛虫、肝蛭などが検出されていて人にも感染します。

なかでも、トキソプラズマは猫が感染することが多いですが、犬も豚肉を生で食べた場合や猫の糞から感染する可能性があります。

また、トキソプラズマは糞から感染しますが、1日~3日経ってから感染力を持つようになります。

健康な犬は、寄生虫に感染しても無症状な場合が多いです。しかし、子犬や老犬、免疫力が落ちている犬には、注意が必要です。また、無症状の犬が寄生虫の宿主になる危険性もあります。

病気が発症した場合には、以下のような症状が見られます

  • 下痢や嘔吐
  • 筋肉の脱力
  • 呼吸困難

犬の体質によっては消化不良を引き起こす

生肉は、消化に良いと言われていますが、ドッグフードに慣れている犬のなかには、胃液の量が減っていることや胃酸の殺菌能力が低下していることもあります。

急に生肉食に切り替えたり一度にたくさんの量を与えたりすると、消化不良を起こし下痢や嘔吐の原因になることがあります。

餌の栄養バランスが偏る可能性がある

生肉だけでは、犬にとって必要な栄養素が摂取できません。総合栄養食にトッピングする方法もありますが、与え方によっては栄養バランスを崩してしまう可能性があります。

また、腎臓の機能が低下している犬には、生肉に含まれているタンパク質やリンの制限が必要になる場合があり注意が必要です。

尿路結石、なかでもストルバイト結石になったことがある犬は、タンパク質やリンが多い生肉は再発の原因になることもあります。

健康な犬にも偏った食事は、様々な病気になる可能性があります。生肉は嗜好性が高いため肉だけしか食べなくなって栄養バランスが崩れる場合もあります。

犬に食べさせてはいけない生肉の種類

骨付き肉を咥える犬

畜産動物には、様々な細菌が腸内や内臓に潜んでいます。食肉に加工する際に食中毒の原因になる細菌が肉に付着するため、新鮮な生肉でも食中毒になる可能性があります。

また、腸管出血性大腸菌やカンピロバクター、サルモネラ菌は10個~100個程の少量の菌数でも食中毒を発症することが分かっています。

スーパーなどで販売されている加熱用の肉

スーパーで販売されている食肉は、加熱調理を想定して販売されています。生食用ではありません。与えてしまうと体調を崩してしまう原因になります。必ず加熱してから与えるようにしましょう。

特に豚肉、鶏肉、レバーなどの内臓、ミンチ肉は生では与えないようにして下さい。生肉には、次のような細菌や寄生虫が潜んでいます。

  • 牛肉・・・腸管出血性大腸菌、サルモネラ菌、カンピロバクター、サルコシスティス・フェアリー
  • 豚肉・・E型肝炎ウイルス、サルモネラ菌、カンピロバクター、トキソプラズマ、旋毛虫、有鉤条虫
  • 鶏肉・・・カンピロバクター、サルモネラ菌

鹿・イノシシ・熊などのジビエ肉

ジビエ肉は、狩猟によって調達された食用の肉です。最近は、カンガルーやターキーなども通販サイトで販売されています。自然の中で生活していたので、寄生虫や細菌も畜産動物よりも多いと言われています。

豚やイノシシの伝染病でオーエスキー病があります。稀ですが犬や猫にも感染します。発症すると死亡する確率が高いため必ず加熱調理するように指導されています。

ほかにも、鹿やイノシシには、E型肝炎ウイルスやカンピロバクターなどの病原菌が潜んでいます。熊は、旋毛虫による食中毒も発生しています。

一度冷凍した生肉を解凍してそのまま与えることがあるようですが、冷凍しても食中毒のリスクはあります。ジビエ肉は、必ず中心まで火を通してから与えるようにしましょう。

犬の消化管を傷つけやすい骨付き肉

骨を食べることで、カルシウムが摂取できたり歯石が取れたりすると言われています。しかし、硬すぎる骨は歯を傷つけることや欠けてしまうこともあります。

手羽先や手羽元を骨ごと与えてしまうと上手に噛み砕くことができなければ、腸閉塞や喉に詰まる場合もあり危険です。

加熱された骨は縦に割れて刺さり易くなるのでさらに危険です。

脂肪分が多い肉や人間用に味つけされた肉

脂肪分が多い肉や偏った食事は急性膵炎や肥満症になる可能性があります。また、人間ように味付けされた肉は、タレに玉ねぎやネギが含まれていることや香辛料で下痢や嘔吐をすることもあるため与えないようにしてください。

犬が生肉を食べてしまった時の対処法

診察を受ける犬

犬が、生肉や骨を誤飲した場合には、いつ頃、どれぐらいの量を食べたのかメモしておくと安心です。食中毒の場合には、数日経ってから症状が現れる可能性もあります。

嘔吐や下痢をしている場合には、出来るなら吐瀉物や便を持参すると診察の助けになります。その際は、感染する可能性もあるので、気を付けて下さい。また、自己判断で吐かせたり薬を飲ませたりはしないで必ず獣医師に相談しましょう。

動物病院では、便の検査や血液検査、で寄生虫の有無や脱水症状が起こっていないか確認します。

骨を食べた場合には、レントゲンを撮影して必要なら内視鏡で摘出します。手術が必要な場合もあります。軽症であれば、抗生剤、整腸剤、吐き気止めなどの薬が処方されます。

犬にどうしても生肉を与えてみたい

女性と犬

犬にどうしても生肉を与えたい場合には、生肉専用の調理器具を準備しましょう。

生肉を与える前と後には、手洗いをして、使用した食器や調理器具は水洗いした後、熱湯消毒します。生肉を与えたお皿も放置せず、すぐに洗って熱湯消毒しておきましょう。

体力があり病気を抱えていない犬にのみ試す

生肉食を与える場合には、体力があり免疫力が高い成犬に与えるようにしましょう。もし、食中毒になってしまっても、症状が軽くすむ場合が多いです。

子犬は、消化器官が未発達ですし、健康に成長するためには、栄養のバランスが重要です。また、抵抗力も低いため生肉は与えないようにしましょう。

老犬は、体力があっても成犬に比べ免疫力や内臓の機能が低下している可能性があります。また、食中毒になってしまうと回復が遅くなる可能性や他の病気の引き金になる可能性があるため与えないで下さい。

人間用に販売されている「生食用」の肉を選ぶ

生肉を選ぶ時には、必ず人間が食べることができる生肉用の肉を選ぶようにしましょう。人用の馬刺しであれば安全性も高いです。

犬用の生食肉の中には、人間が生で食べられるだけの基準になっていない物もあります。

少量から与え始めて犬の健康状態をよく観察する

犬は、食べ物の変化に弱いです。そのため生肉をあたえる場合には、小さじ1ぐらいの少量から始め、段階的に増やして行きましょう。下痢や嘔吐をした場合には、中止して病院で診察貰って下さい。

まとめ

生肉と子犬

犬に生肉を与えることは、賛否両論ありますが、衛生面や栄養面からあまりおすすめしません。ジビエ肉の生食は絶対にやめておきましょう。

愛犬に良いと聞くと試してみたくなりますが、生肉食には、リスクやデメリットのほうが多いです。

それでも、試してみたい場合には、人用に販売されている馬刺しがおすすめです。その際には、調理器具やお皿の取り扱いにも気を配る必要があります。

食中毒は、汚染された生肉を食べた犬だけでなく、人間にも感染する可能性があります。また、排泄物から感染する可能性が多いため お散歩の際の落ちている糞にも注意が必要です。愛犬の糞は持ち帰るようにしましょう。

生肉による食中毒は、加熱調理することで、防ぐことができます。肉を与える場合には、できるだけ加熱して与えるようにしましょう。

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