ペットフードのペディグリーが展開する保護犬キャンペーン
大手ペットフードメーカーのマースペットケア社が展開するブランドのペディグリーは、長年にわたって動物保護施設や保護犬猫の支援キャンペーンを行なっています。
このたびペディグリーNZがニュージーランドでの保護犬譲渡の縁組を促進するため、ティーンエイジャーの保護者をターゲットとしたキャンペーンをスタートさせました。
10代は心と身体の大きな変化を迎え、子どもたち自身も保護者たちも変化に戸惑ったり悩んだりするものです。犬と暮らすことは身体的、精神的な健康の向上に関連しています。
人生の中でも特に不安定で難しい10代の時期に保護犬を迎えることが、家族全体のサポートになるかもしれませんよというのがキャンペーンの要旨です。
長年にわたって保護動物の支援を行なっている同社ですから、安直な取り組みではありません。キャンペーンの内容をご紹介していきます。
ティーンエイジャーの心のスイッチを入れるのは犬の愛
このキャンペーンのためのウェブサイトのトップページには次のような興味深い言葉が書かれています。
『ティーンエイジャーの脳は、他のある部分を発達させるために一時的に理性的な部分のスイッチを切ることがあります。ティーンエイジャーたちのティーンエイジャーらしい行動の理由はここにあります。彼らの脳のスイッチが切れた時、心のスイッチを入れ直すのは犬の愛です。』
この言葉の後に、アイコンをクリックしていくつかの質問に答えて行きます。
質問の内容は
- 1日にどのくらいの時間を散歩に費やせますか?
- 散歩の他にスポーツなどアクティビティを考えていますか?
- 住居のタイプは一戸建てか集合住宅か
- 他のペットと暮らしていますか?
- 10歳未満の子ども、高齢者など同居家族の構成
- 1日のうち犬が留守番する時間の長さ
などです。
これらの質問に答えた後に、居住地域の情報を入力すると地域内で家族を募集している犬のうち上記の条件に合う犬たちが表示されます。
興味深いのは「あなたにぴったりの犬を探す」という質問項目に人間側の好みは反映されていないことです。最初に人間側の条件ではなく、犬が必要としている条件から考えられているわけですね。
キャンペーンではティーンエイジャーの存在がポイントになっていますが、犬のケアの中心はあくまでも保護者である大人だということも強調されている印象です。
犬の存在がティーンエイジャーを助けるという研究結果
このキャンペーンは、不安定で悩みの多いティーンエイジャーと犬という組み合わせをイメージだけで作っているわけではありません。
2020年にはアメリカのウェルズリー大学が、中学生700名を対象にしてペットの存在と社会性の関連を調査した結果を発表しています。
この調査によると、ペットとのつながりが強い中学生はソーシャルメディアを通じて他者をサポートしたり他者からサポートを受ける傾向が強く、社会的な孤立感を感じる傾向が低かったそうです。
またペットと暮らしている中学生はストレス解消の方法として「ペットと過ごす時間」が「家族や友人と過ごす時間」「テレビやネットを見る時間」を上回っていました。これらの傾向は他のペット動物に比べて犬において特に強かったこともわかりました。
過去の他の研究でも人がペットを大切に思う感情は、社会的能力、自尊心、自律性との関連が示されており、特に犬は青少年の認知、情緒、行動の発達に良い影響があることがわかっています。
まとめ
ペットフードブランドのペディグリーNZが、保護者を対象にしてティーンエイジャーと保護犬のためのキャンペーンを始めたという話題をご紹介しました。
愛犬の存在が心の拠り所になったり、社会性を育ててくれることは多くの人が経験していることでしょう。成長期のティーンエイジャーにとって、犬の存在がより大きいものになり得ることは想像がつきます。
『脳のスイッチが切れた時、犬の愛が心のスイッチを入れる』素敵な言葉ですね。
《参考URL》
https://pedigreeteenagers.com
https://link.springer.com/article/10.1007/s10560-020-00707-y