犬のDCMの発症率と穀物フリーフードの売上には相関が無いという研究結果

犬のDCMの発症率と穀物フリーフードの売上には相関が無いという研究結果

2018年にアメリカで穀物フリーフードを食べている犬と拡張型心筋症(DCM)の発症に関連がある可能性が発表されましたが、フードの売上と病気の発生の相関を大規模に調査した結果が報告されました。

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穀物フリーフードと拡張型心筋症の関連を調査

ドッグフードとグレインフリーの文字

2018年にアメリカの食品医薬品局から「犬の拡張型心筋症(DCM)の症例が増えており、患者の犬の多くが穀物フリーフードまたは豆類を多く含むフードを食べていた」という警告が出されたことを覚えていらっしゃいますでしょうか。

この件については、その後もいくつかの研究機関が調査を続けており、その多くがフードの成分が拡張型心筋症の原因になるという証拠は見つからないと報告してきました。

そしてこの度、フードの成分研究とは別の視点からの調査結果が報告されました。別の視点とは、穀物フリーフードまたは豆類を多く含むフードが犬の拡張型心筋症の原因であるなら、フードの売上と病気の発症率は比例していることが予想されるというものです。

調査を実施したのは、アメリカのBSMパートナーズという調査機関とミズーリ大学獣医学部の研究者でした。実際に穀物フリーフードの売上が増えるにつれて、拡張型心筋症の症例も増えていたのでしょうか?

フードの売上とDCMの発症率の推移を比較する

ハートと心電図と肉球跡の画像

2018年に食品医薬品局が犬の拡張型心筋症について「増加している」としたのは約150件の症例でした。これは当時も「サンプル数が少なすぎる」と指摘されており、比較のベースラインも示されていませんでした。

穀物フリーフードまたは豆類を多く使用したフードは2010年頃から発売され、売り上げを伸ばして来ました。もしもこれらのフードが拡張型心筋症の原因であるなら、2010年以降この病気の患者が増えていると考えられます。

調査チームは2011年から2019年までの、穀物フリーフードの実店舗での市場シェアデータを調査しました。穀物フリーフードの売上が記録されているのは2011年が最初です。

つまり、ゼロからスタートした市場シェアは2019年の時点でドッグフード全体の29%、ドライフード全体では43%のシェアを記録するという急激な伸びを示しました。売上金額では、2011年の9億ドルから2019年には54億ドルという500%の増加が記録されました。

拡張型心筋症の症例数については、地理的な偏りがないよう選出されたアメリカの獣医療循環器専門機関から医療記録を取り寄せました。88の獣医療機関にコンタクトしたうち14の機関からデータの提供を受けました。

データの期間については医療機関によって差があったのですが、循環器専門医によって拡張型心筋症と診断された68,297件の症例に基づいて、2011年から2019年の間の発症率の推移が分析されました。

フードの売上は伸びているが、DCM発症率は横ばい

受診中のゴールデンレトリーバー

2011年から2019年の間に穀物フリーまたは豆類を多く使ったフードの売上は、金額ベースで6倍に伸びていたのですが、拡張型心筋症の発症率も同じように増加していたのでしょうか?

結果は、発症率は増加も減少もしておらず横ばい状態でした。統計データで見ると、穀物フリーフードまたは豆類を多く使ったフードの売上増加と拡張型心筋症の発症率は、相関が無かったということです。

犬種や地域によって増加傾向のある部分は見受けられましたが、穀物フリーフードの売上とは相関していませんでした。この研究はフードの成分に関するものではないので、何らかの栄養素と拡張型心筋症の発症率との関連には触れていません。

まとめ

フードボウルを前にしたサモエド

穀物フリーフードまたは豆を多く使ったフードが、犬の拡張型心筋症の増加に関連しているという警告に対して、実際に該当するフードの売上と病気の発症率を比較分析したところ、フードの売上は伸びているが病気の発症率は横ばい、つまり両者には相関が見られなかったという調査結果をご紹介しました。

今までにも有力な証拠が発表されていないところから、この調査結果も驚くものではないのですが、該当するフードを利用している方の参考になれば幸いです。

《参考URL》
https://doi.org/10.3389/fanim.2022.846227

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