ペットフード のサステイナビリティってなに?
このところ様々な分野で「サステイナビリティ」とか「サステイナブル」という言葉を聞くことが増えたなあと感じませんか?サステイナビリティとは直訳すると「持続可能性」サステイナブルは「持続可能な」という意味です。
巷で使われているこの言葉の定義は、国際連合の「環境と開発に関する世界委員会」から来ており「将来の世代のニーズを損なうことなく、現在の世代のニーズを満たす」というものです。
元々は地球環境や資源開発における概念だったのですが、サステイナビリティを考えた商品開発や流通システム開発は企業の社会的責任として、近年ますます重要視されるようになっています。
ペットフード のメーカーもまた例外ではありません。原料となる食肉や植物が多様性や環境を損なうことなく生産性を継続できるか、パッケージに使用されるプラスチックなど石油製品が環境を損なうことなく将来にわたって使用を持続していけるか、といった点を考慮していくことが重要視されています。
アメリカ獣医師協会がペットフードやトリーツのメーカーがどのように製品のサステイナビリティに取り組んでいるかについてレポートを発表していますので、その内容をご紹介していきます。
ペットフード の原材料のサステイナビリティ
畜産が環境に及ぼす影響の大きさから、肉の消費が注目され続けています。2017年のカリフォルニア大学ロサンゼルス校の調査では、アメリカの犬と猫が消費する食肉は、畜産が環境に及ぼす影響の25〜30%を占めると報告しています。
実際にはペットフードに使われる原材料の肉は、人間が消費しない部分が多く使われているためこの数字はやや大き過ぎるのですが、それでもペットが食肉を消費していることは間違いがありません。
ペットフードのタンパク質源をサステイナブルにすることについて、多くのメーカーが様々な方法で取り組んでいます。
いくつかのペットフードメーカーは、フードのタンパク源として昆虫を使うことに焦点を合わせています。原材料として使われるのは養殖されたコオロギとアメリカミズアブの幼虫が主なものです。ペットフード の成分や原材料を規定するアメリカ飼料検査官協会(AAFCO)は、成犬用フードに使用する原材料として乾燥したアメリカミズアブの幼虫を定義しました。
また、バイオテクノロジーの企業はペットフード向けのタンパク質を培養する技術を開発しています。これは食肉を合成培養するというのではなく、酵母などをより効果的に培養してタンパク質源として利用するという技術です。
またあるペットトリーツのメーカーは、通常は廃棄される未使用の食品を使って製品を製造しています。例えば、過剰に生産されたり形や包装が規格に合わなかった食品は廃棄され無駄になってしまいます。このような食品を使うことでサステイナビリティに取り組んでいます。
ペットフード のパッケージのサステイナビリティ
ペットフードやトリーツのパッケージのほとんどは紙とプラスチックですが、ある環境NPOの調査によるとそれらの99%以上はリサイクルされていないと報告されています。しかし、アメリカペット製品協会の調査では、ペットの飼い主の12%は環境に優しいパッケージの製品を好むという結果も出ています。
このような動きを受けて、ある超大手ペットフードメーカーは2025年までにパッケージの100%を再利用可能、またはリサイクル可能にするように取り組んでいます。
現在も同社の製品の80%はリサイクル可能なのですが、米国内のほとんどのリサイクル施設には現在これらの材料を処理するインフラが整っていません。そのため同社はパッケージに使われるプラスチックにより多くの使用済みリサイクル材料を使うよう調整に取り組んでいます。
自治体やゴミ処理会社に引き取ってもらえないプラスチック製品を収集することを専門にしている会社もあります。ペットフードのパッケージなどはまさにこれに該当するのですが、ある中堅ペットフードメーカーはこのプラスチック収集プログラムに参加しています。
消費者はオンラインでプラスチック収集プログラムへの参加を申し込むことができ、送料無料のラベルをダウンロード印刷することができます。このラベルを使ってリサイクルするパッケージを郵送することで、ペットフードのパッケージもリサイクルが可能になります。
ある大手メーカーは従来のリサイクル施設で引き取ってもらえるパッケージを開発し、ヨーロッパでの使用を実現しています。2022年からはアメリカでも一般リサイクル可能なパッケージでの販売を開始できるよう取り組んでいます。
また、別の大手メーカーは使用済みリサイクル材料を増やす、リサイクル可能なパッケージを開発することの他に、長時間のうちに土に還るパッケージを採用する予定だそうです。
まとめ
アメリカのペットフードやトリーツのメーカーが製品のサステイナビリティに関して取り組んでいる方法について、いくつかをご紹介しました。
愛犬や愛猫のために原材料や生産地を吟味してフードやトリーツを選んでいるという飼い主さんは多いですが、これからはメーカーがサステイナビリティを重視しているかどうかも選択基準の1つになっていくかもしれません。
さまざまな製品のサステイナビリティに注目するのは企業の責任だけでなく、それを選ぶ消費者にも責任の一端があります。地球の環境はそこに住む人と動物全てに関係することですものね。
《参考URL》
https://www.avma.org/javma-news/2021-08-01/pet-food-sustainability-and-outside-bag