愛犬のためのフード、こだわりポイントを調査
愛犬のために購入するドッグフード、皆さんもあれこれ頭を悩ませたり、こだわっている点があるかと思います。
この度カナダのゲルフ大学の動物生物科学の研究チームが、5カ国の犬の飼い主を対象にして、ドッグフードを購入する時に意識している点について大規模なアンケート調査を行いました。
調査の一番の狙いは、穀物を含まないグレインフリーフードが市場に定着していることから、どのような購買層がどのような理由でグレインフリーフードを選んでいるのか、その要素を特定することだそうです。
グレインフリーフードを好む飼い主の傾向とは
研究チームは、カナダ、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリスの犬の飼い主3300名へのアンケート調査を実施しました。
質問項目には「ドッグフードを選ぶための情報はどこから得るか(獣医師、インターネット、ショップ店員など)」「ドッグフードを選ぶ時に重視する点(値段、ブランド、原材料など)」「原材料を重視する場合、何を特に気にするか(タンパク質の種類、穀類、添加物など)」が含まれました。
また犬ではなく飼い主自身の食生活で気をつけている点についても質問項目がありました。
回答の集計の結果、フード選びのための情報はインターネットから得るという人が一番多く、フード選びで重視する点は犬自身の好みが1位で原材料は2位でした。原材料の中でもこだわる人が多かったのはタンパク質の種類と、穀類が使われているかどうかでした。
調査のポイントでもある、穀類が使われていないグレインフリーフードを好む傾向は国ごとに差がありました。グレインフリーを好む人が一番多かったのはドイツで、30%の人がグレインフリーを選ぶということでした。次いでアメリカ27%、カナダ22%、イギリス19%、フランス8%でした。
他にグレインフリーを好む購買層は次のようなものでした。
- 女性の飼い主
- ペットフード の原材料を注意深く読む
- フードの種類をローテーションで変える
- 愛犬にアレルギーがある
- 情報源がインターネットまたはショップ店員
- 自分自身がオーガニックやグルテンフリーのこだわった食事をしている
フードを購入する飼い主が正しい知識を持つこと
アンケートの集計結果から、研究者は「穀物が犬の健康に有害であるという科学的根拠がないのに、一定の購買層にグレインフリーフードの人気が定着しているのは、消費者が正しい情報を得ておらずペット業界のマーケティング戦略の影響を受けている可能性がある」と述べています。
研究者はまた、2017〜2018年にアメリカで発表されたグレインフリーフードと拡張型心筋症との関連の可能性にも触れた上で、消費者に正しい知識を提供して正しい選択をする支援をしたいとも述べています。
しかし、この研究者の言葉には注意しなくてはいけない点があります。研究者が指摘する穀物有害の根拠と同様に、グレインフリーフードと拡張型心筋症の関連にも科学的根拠は見つかっていません。
また穀類と一括りにしていますが、炭水化物源として使用されるオーツ麦や米が使われているフードと、タンパク質源としてコーンや小麦が使われ肉類が少ないフードを同等に扱うことは無理があります。
グレインフリーフードも様々な種類があり、芋類や豆類が多く使われているもの、肉類の割合が高いものと、横並びではありません。
ペットフード に限らず、製品として購入するものは何であれ必ずマーケティング戦略がくっついています。犬が自分で選択することができないフードについては「この製品のマーケティング戦略はどんなものかな?」と自分で考え、正しい知識や情報を得ることが大切です。
まとめ
グレインフリーフードを好んで購入するのはどのような人々かを調査するためのアンケートの結果をご紹介しました。
研究の狙い自体は賛同しかねる部分もあるのですが、国別の好みの傾向や、飼い主自身が健康志向の人がドッグフードにもこだわるという点などは興味深いですね。
《参考URL》
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0250806