『魚介類』の中には犬にNGなものも
魚介類とは魚類と貝類、そして海産動物の総称です。新鮮な魚介類はとてもおいしく、好物だという人も多いでしょう。でも魚介類はおいしいだけではありません。良質な動物性タンパク質やビタミン、ミネラルなど豊富な栄養素を含み、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)をはじめとする機能性成分も多く含まれています。
しかも低カロリーなものが多いので、ぜひ愛犬にも与えたくなりますが、魚介類には犬にNGなものも少なくないので注意が必要です。そこで今回は、犬に食べさせてはいけない『魚介類』をご紹介したいと思います。
犬に食べさせてはいけない『魚介類』
1.ししゃも
市場で流通しているししゃものおよそ9割は『カラフトシシャモ(カペリン)』という代用魚です。アイスランドやノルウェー、カナダなどから輸入されており、本物のししゃもは北海道の太平洋沿岸で獲れる『本ししゃも』を指します。
外国産のものも国産のものも犬にとって毒となる成分は含まれていないものの、ししゃもの干物は製造過程で大量の塩を使用しているため、塩分の過剰摂取の原因になるので犬には与えない方がいいでしょう。塩分の過剰摂取は、心臓病や腎機能障害に繋がる恐れがあります。
またししゃもはまるごと食べられる魚ですが、犬はよく噛まずに飲み込んでしまう習性があるため、骨が喉に刺さる危険も否めません。
2.エビ
生のエビにはビタミンB1を分解するチアミナーゼという酵素が含まれており、大量に摂取したり、継続的に摂取したりするとビタミンB1欠乏症になる恐れがあるため、生のエビを犬に与えてはいけません。ビタミンB1欠乏症になると、歩行障害などの運動失調が現れることがあります。
チアミノーゼは加熱すると失活するため、加熱したエビの身なら犬に少量与えても大丈夫ですが、エビはあまり消化がよくないので小型犬に与える場合は小さく刻む方が良いでしょう。
3.カニ
エビと同様に加熱して身の部分を少量与えるのはOKですが、生はビタミンB1欠乏症のリスクがあるためNGです。加熱してもやはり消化はよくないので、下痢や嘔吐の原因になることがあります。
ちなみに色や食感をカニ似せたカニかまは人間用に加工されており、犬には塩分が多いので与えないようにしましょう。犬用のカニかまならOKです。
4.イカ
生で与えるのはNGです。生のイカにもチアミナーゼが含まれているため、ビタミンB1欠乏症になるリスクがあります。また生のイカには、アニサキスという寄生虫が潜んでいる可能性もあります。アニサキスが生きたまま犬のお腹の中に入ると、激しい腹痛などを引き起こします。加熱したイカであれば少量与えても基本的に問題ないですが、消化不良を起こしやすいです。
イカの内臓を取り除いて干したスルメは胃で膨張して、食道や胃、腸に詰まってしまう恐れがあります。また塩分も多いので、犬に与えるのはやめましょう。
5.タコ
エビ、カニ、イカと同じくチアミナーゼを含み、生のまま与えるとビタミンB1欠乏症になる可能性があります。加熱したタコは少量なら与えてもOKですが、やはり消化が悪いので、犬にあえて食べさせなくてもいい食材です。
6.あわび
中には加熱して少量ならOKとされている貝(牡蠣やしじみなど)もありますが、貝類は消化不良を起こしやすいので基本的には犬に与えない方がいいです。生の貝にはチアミナーゼが含まれているので、生で与えてはいけません。
貝の中でも、あわびには特に注意が必要です。あわびの肝(中腸腺)に含まれているピロフェオホルバイドaという毒成分が光線過敏症(日光に当たると皮膚炎などを起こす)を引き起こすことがあります。主に猫がなりやすいですが、犬も注意するに越したことはありません。特に春先(2~5月)にかけて毒素が強くなるので加熱、未加熱を問わず犬に与えないようにしましょう。
もし食べてしまったら?
愛犬に食べさせるつもりはなくても、床に落ちたものを食べてしまったり、つまみ食いしてしまったりすることもあると思います。
もし愛犬がご紹介した魚介類を食べて下痢や嘔吐、元気消失などが見られる場合や大量に食べてしまった場合、心配な場合は、早めに動物病院へ連れて行くか、電話で相談をしましょう。その際は『いつ』『何を』『どのくらい』食べたのかを伝えることが重要です。
まとめ
今回は、犬に食べさせてはいけない『魚介類』を6つご紹介しました。おいしい魚介類が食卓に出ると愛犬にも味わわせてあげたくなりますが、ご紹介した魚介類は与えないようにしましょう。エビやカニなど加熱し少量であれば犬に与えてもOKとされているものもありますが、消化が悪く下痢や嘔吐に繋がる場合もありますので、慎重に与えるようにしてください。
もしご紹介した魚介類を食べて愛犬の具合が悪くなった場合などは、早めに動物病院を受診または電話で相談をしましょう。