より環境に優しいタンパク源でペットフードを作る
食肉のための畜産は、温室効果ガスであるメタンを大量に放出したり、飼育のための土地の確保のために山野を開拓したりと言った環境への影響が大きいものです。国連は地球温暖化を防ぐために食糧生産の方法を変えることを提唱しています。
ペットフードの原材料に使われる食肉は一説には生産されている食肉全体の30%を占めると言われるほど大きなものです。
この食肉使用による環境へのインパクトを小さくするために、ペットフード最大手メーカーであるネスレのピュリナブランドが新しく開発したフードの発売を始めると発表しました。
環境に優しい原材料として使用されているのは、良質なタンパク質を豊富に含む昆虫と、河川や湖で増えすぎた外来魚の鯉です。
ピュリナは昆虫をタンパク源に使用したフードは新ラインとして2020年11月からスイスで発売を開始し、その後他のヨーロッパ市場にも拡大していく計画だそうです。
2021年1月からはアメリカで、新しいタンパク源のフードのオンライン販売をスタートする予定もあるとのことです。
新しいタンパク源はどのように提供される?
ペットフードの新しいタンパク源として注目されているのはアメリカミズアブというアブの一種の幼虫です。ピュリナはこの虫がどのように供給されているかは発表していませんが、2018年に昆虫を使ったフードを開発したイギリスの小規模メーカーは、衛生的な環境で養殖された虫を使用していました。
もう1つペットフードのタンパク源として考えられているのは、河川や湖で増えすぎてしまったアジア産の鯉です。鯉はアジアから欧米諸国などに持ち込まれ、河川に放されたものが強い繁殖力で増えすぎてしまい、在来種の魚や虫の脅威となっています。これらを捕獲してペットフードにするのだそうです。
新しいタンパク源のフードのメリットとは?
環境に優しいペットフードというのが製品のセールスポイントですから、これらのフードの最大のメリットは環境に与える影響が小さいということです。このメリットは、より環境に配慮した生活をしたいと考える消費者にとって魅力的だと思われます。
また今までにペットフードに使用されていないタンパク源は、アレルギー対策としても有効です。地球環境だけでなく個々の動物や飼い主にとっても優しい原材料だと言えるでしょう。
国連は2050年までに地球上の人口は90億人以上になると予測しています。そのため世界的な食料不足の潜在的な不安があり、昆虫など新しいタンパク源はその解決策としても有効だと考えられています。
まとめ
業界最大手のネスレピュリナブランドが、昆虫や外来魚をタンパク源として使用したペットフードを新発売するという話題をご紹介しました。
「えっ!虫?」と拒否反応を起こしてしまう人もいるかもしれませんが、猫や小型犬にとっては意外と体に合う動物性蛋白質ではないかと思います。
ペットのためのビーガンフードなども増えつつありますが、犬は肉食寄りの雑食性、猫は完全んに肉食性の生き物なので、ビーガンやベジタリアンでは不自然で完全とは言えません。
日本での発売は今のところ何も発表がありませんが、将来的に愛犬や愛猫のための選択肢が増えていくといいですね。
《参考URL》
https://www.npr.org/2020/11/06/932241981/flies-for-dinner-purina-to-offer-bug-based-dog-cat-food