ペットの食事についてのアンケート調査
カナダのグエルフ大学の研究者チームによって、家庭で飼われている犬と猫の食事についてのアンケート調査の結果が発表され、その少し意外な結果に驚きの声が上がっています。
この調査は、英語圏の5カ国(オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イギリス、アメリカ)で犬と猫の飼い主3673人に対してオンラインアンケートによって行われました。アンケートの内容は愛犬や愛猫の毎日の食事に何を与えているかというものです。
集められたデータは、過去10年間に公開された9件の査読済み論文のデータとの比較が行われました。オンラインアンケートのデータは2018年のもの、比較のためのデータは2008年からの10年間のものです。
研究チームのメンバーには大手ペットフードメーカー3社のために働いている人々も含まれています。
関係者を驚かせたアンケート結果とは
アンケート調査からは、ほとんどの犬と猫が一般的な市販のフード(ドライまたは缶詰)を与えられていました。具体的には79%の犬と90%の猫が市販のフードを食べています。
しかし毎日「市販のフードだけ」を与えられているペットの数は犬13%、猫32%と驚くほど少ないものでした。2008年の調査では、市販のフードだけを与えられていた犬は65%、猫は85%だったので大幅に低下していることがわかります。
10年前にはデータとして記録されていなかったものにBARFダイエットなど生の食材の食事があります。この度のアンケート調査では犬の9%、猫の6%が生の食事だけを与えられていました。
過去10年間で大幅に増加したのは手作りの食事の割合です。ペットの食事の全てまたは一部に手作り食を取り入れている割合は、2008年には犬の31%、猫の13%でしたが、2018年には犬64%、猫46%になっています。
市販フードのリスク、手作り食のリスク
上記のように、市販のペットフードを利用する人が減少し、生食や手作りの食事を取り入れる人が増えている傾向は顕著です。
考えられる原因の1つは過去10年以上に渡って何度も起こっているペットフードの安全性を脅かす事故の数々です。
最も規模の大きいものは2007年のメラミン混入事件で、多くのペットが命を落としたり重い障害を負ったりしました。その後もフードへの薬物混入や一部原材料の過剰混入による死亡事故、もっと悪いものでは原因不明の死亡事故も起きています。
市販のペットフードから手作りの食事に移行した飼い主の多くは、ペットフードの成分への不信感や潜在的な汚染に関する懸念を訴えています。
これは消費者にとって大きなリスクであり、メーカーが真摯に取り組まなくてはいけない課題です。
一方、手作りの食事の最大のリスクは栄養バランスの崩れ、栄養不足から来る健康被害があります。犬や猫の栄養学は人間とは違うのですが、勉強や理解が不足したまま手作りに移行して長期的に栄養が不足した状態になっているペットは少なくありません。
書籍やインターネットで紹介されているペットの手作り食のレシピの多くにおいて必要な栄養素が不足しているというリサーチ結果も報告されています。
手作り食の栄養不足はすぐに目に見えて現れるのではなく、長年のうちに内臓の機能低下や骨や関節への障害という形で少しずつ現れます。そのため病気になってもなお栄養不足に気づかない場合も少なくありません。
研究者はかかりつけの獣医師がペットの食事内容を把握して、栄養ニーズについて飼い主に指導ができるようにしなくてはいけないと述べています。
まとめ
英語圏の5カ国でペットの飼い主にペットの食事に関するアンケート調査を行った結果、生食や手作りを取り入れる人が増え、ペットフードのみを与えている飼い主が減っている傾向があることをご紹介しました。
大切な家族である愛犬や愛猫の食べるものを選ぶのは本当に悩ましいものです。この調査の結果からまとめて考察すると、市販のペットフードにせよ、手作りを取り入れるにせよ、飼い主がしっかりと勉強して情報と理解を身に付けることが重要です。
当たり前の結論に思えますが、簡単なことではありません。大切な家族のために頑張りましょう。
ユーザーのコメント
50代以上 女性 匿名
・飼い主さんの入院や緊急時に
・災害時に
特に災害は、人も大変なのにワンちゃんの為の食材が確保できるとは思えません。