ペットフードの匂いと飼い主の感情の関連をリサーチ
ペットフードの袋を開けた時に「いい匂いだな」と感じたり「くさっ!なんでうちの犬はこれが好きなんだろう?」と思ったりした経験は多くの方が持っているのではないでしょうか。
ペットのためのドライフードの匂いと飼い主の感情的な反応、またその反応は文化圏によって違いがあるだろうか?というユニークな研究が行われ、その結果が発表されました。
研究を行ったのはフランスのペットフードメーカー、ディアナ社の研究チームです。
3つの地域でドライフードの匂いを評価する実験
研究のためのリサーチは3つの異なる文化圏で行われました。
フランスのブルターニュ、アメリカのカンザス、レユニオン島(インド洋上のフランス領の島)の3つの地域のペットオーナーがドライフードの匂いに付いてどのように感じたかを評価してもらい集計するというものです。
参加したのは犬の飼い主289人、猫の飼い主294人でした。
用意されたチキン風味のドライフードは、数種類のフレーバーコーティングが施され、それぞれに違う匂いがします。
参加者はそれぞれのフードの匂いを嗅いで、アンケートに回答します。
全体的な好みの他に、感情測定のスケールを利用して、匂いを嗅いだ時にどのような感情を持ったかを答えます。
またフードの匂いを記述するためには、特別に設計された感覚言語を使用したパネルを用意して実施されました。
フードの匂いで感情にどんな違いがあった?
さて、ドライフードの匂いを嗅いだ参加者たちは、どんな風に感情が動いたのでしょうか?
コーティングされたフレーバーによって違う匂いを持つドライフードのうち、参加者たちが「スパイシー」「アロマティックハーブのような」「ブイヨンのような」「ローストチキンのような」と評価したものは、元気や上向きな気持ちにつながる感情に関連していました。
一方「脂肪臭」「臓器のような」「穀類のような」と評価されたものは、沈んだり下向きな気持ちにつながる感情に関連していました。
また文化の違う地域差は、匂いの好みと感情に大きな違いをもたらしていました。
3つの地域のうち、アメリカの参加者はフランスやレユニオン島の参加者に比べて、匂いが強くないものを好み、匂いを記述する時に不快感に関連する言葉をより多く使用していました。
このようにペットフードの匂いがペットの飼い主の感情に影響を与えること、同じ匂いのフードでも文化圏によって認識が変わる可能性があることがわかりました。
まとめ
フランスのペットフードメーカーが行なった研究で、ペットフードの匂いが飼い主の感情に影響を及ぼし、文化圏によって受け取り方に違いがあるという結果をご紹介しました。
ペットフードメーカーはこのようなリサーチを繰り返して、フードの形状や匂いや触感を決めていくようですね。
私たちの身近な例で言えば、日本産のフードではカツオ節の匂いがするものがあり、多くの日本人は「良い香りだ」と思いますが、欧米では「魚くさい」と敬遠されることがあります。
文化の違いというのは面白いものです。
けれどペットフードはその名の通り犬や猫たちペットのものです。飼い主の好みは参考程度にとどめて、愛犬や愛猫が本当に喜ぶものを見つけてあげたいですね。
《参考URL》
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0950329319302435