ワインの品質検査に犬の嗅覚を活用!?
犬の嗅覚の素晴らしさは今更言うまでもなく、その嗅覚を使って犯罪捜査や爆発物探知、人間の病気を始めとしてミツバチや樹木の病気の発見まで、様々な世界で人間を助けて働いてくれています。
そしてこのたび、世界で屈指のワインの産地であるチリのワイン業界が、品質検査のために犬を訓練し、ワイナリーやワイン樽メーカーなどに派遣するというプロジェクトを立ち上げました。プロジェクトの名はナティンガ・プロジェクトと言います。
香りはワインの命であり、汚れやカビなどが少しでも混入すると、その品質を大きく損なってしまいます。ですからワインメーカーは言うまでもなく、コルクやワイン樽を作るメーカーも望ましくない匂いや風味の原因になるものを徹底的に排除するように努力しています。
その役目を任された犬たちは、どのように働いているのでしょうか。
ワインの品質に影響する天然化合物を探知する犬たち
ナティンガ・プロジェクトでは、現在5匹のラブラドールレトリーバーが採用されて働いています。犬たちはトリクロロアニソールなどの、ワインに望ましくない香りや風味をもたらす天然化合物を探し出すために訓練されました。これらの化合物は、コルクやワイン樽がその発生源となることが多いのですが、高度なテクノロジーを使っても検出が難しいことが知られているそうです。
そこで登場したのが先に述べた犬たちです。犬の優れた嗅覚は、訓練された特定の化合物が非常に低い濃度であっても検出するのだそうです。
犬たちはコルクやワイン樽を嗅いで、問題となる化合物が発生していれば、ハンドラーに知らせます。化合物そのものはワインの風味にとっては厄介なものですが、有害なものではないそうです。
あるワイナリーでは、ワイン製造に使うホースに取り付けられた小さなゴム製のリングにこの化合物が発生していたのが犬によって発見され、品質の問題が解決されたということです。
アメリカにもワイン品質探知犬が進出する可能性
チリと同様に世界的なワインの産地であるアメリカのカリフォルニアでは、チリのワイン樽メーカーと契約しているワインメーカーも多いのですが、アメリカのメーカーにもワイン品質探知犬の仕事はとても前向きに受け止められているそうです。
ナティンガ・プロジェクトではプロジェクトを継続していけるように、次世代の犬の訓練もしているとのことで、将来的にはアメリカでも同様のプロジェクトが行われるかもしれないということです。
まとめ
チリのワイン業界で、ワインの品質に影響を及ぼす物質を探知するために働いている犬たちのニュースをご紹介しました。
このようなニュースを聞くたびに、犬の能力に改めて感嘆し感謝の気持ちも新たになるのですが、一方で働く犬たちがきちんと扱われ、尊重されているだろうかという心配な気持ちも少し浮かびます。
働く犬の福祉がきちんと守られるためには、社会全体が働く犬のことを知り、ほんの少し想像力を働かせることが大切です。
チリワインを飲む機会があれば「このワインが美味しいのはラブラドールたちのおかげかもしれないな」と思い出してみてくださいね。
《参考》
https://www.foodandwine.com/news/wine-tca-tba-dog-detection-chile